韓国総選挙「タマネギ男」政党の人気がなぜ高いのか 「法難」訴え曺国元法相の新政党が選挙戦の目玉に
限りなく「曺国革新党」に近い「祖国革新党」は、すっかり選挙の台風の目となった。比例代表での支持率は29.5%という世論調査結果も出ている。
これは、進歩系の最大野党「共に民主党」が少数政党に有利な比例代表制の「抜け穴」としてつくった「衛星政党」の19%を上回り、「国民の力」のミニ政党の30.2%に迫る勢いだ。議席数にすると10前後を獲得することになり、2大政党が拮抗した場合、「祖国革新党」が国会でのキャスティングボートを握りそうだ。
しかし、なぜ曺国氏が日本のワイドショーを賑わせたか、思い返してみたい。前の文在寅政権で法相に就任したものの、娘の大学不正入学をはじめ家族のスキャンダルが噴出。彼は就任して1カ月ほどで辞任に追い込まれた。
韓国ドラマのような選挙戦
彼自身も不正入学のために表彰状の偽造に手を染めたことなど多くの罪で検察によって起訴され、一審・二審とも有罪判決。大法院(最高裁)に上告をしてはいるものの、2024年内に棄却される公算が大きい。
有罪が確定すれば、たとえ今回の選挙で当選しても議員資格を失う(その場合は「祖国革新党」の次点候補が繰り上がり当選)のだが、人気は上がる一方となっている。
その背景には、娘の不正入学などで起訴されたことや、検察による長時間の家宅捜索が「やり過ぎ」「政治的な思惑に基づく強引な捜査だ」という曺国氏がこれまで一貫して主張してきた経緯がある。これが、進歩派の有権者たちの間で共感が広がっている。
というのも、文在寅政権は検察の権限を大幅に縮小する方針を打ち出し、その実行役に任命されたのがソウル大学法学部の教授であった曺国氏だった。対して、曺国氏をめぐる捜査の総責任者は、当時の検事総長・尹錫悦大統領だった。
曺国氏の視点からは、自分に対する捜査は検察弱体化の妨害が真の目的であり、だからこそ不当に過酷であったと映り、尹大統領は不俱戴天の仇となった。総選挙で新党を結成して与党の議席を1つでも多く削って尹大統領を苦境に追い込もうと燃えている姿は、さながら韓国ドラマの復讐劇だ。
また、選挙戦略として巧みなのは、曺国氏が「小選挙区では『共に民主党』の候補に、比例では『祖国革新党』に」と訴えて「共に民主党」との連携を確立したことだ。
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