韓国総選挙「タマネギ男」政党の人気がなぜ高いのか 「法難」訴え曺国元法相の新政党が選挙戦の目玉に

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一方、留意すべき点もある。年代によって支持・不支持が極端に分かれていることだ。私が覗いた仁川でのイベントでもそうだったが、「祖国革新党」支持者のほとんどは40代以上、とりわけ50代が多い。検察と闘う曺国氏の姿に、かつて学生運動を通じて軍事政権と闘った自分たちの青春を投影しているようだ。

しかし、30代以下での支持率は一桁に留まり、とりわけ20代は「ゼロ」という調査結果も出ている。権力者の親の力で娘が大学に不正入学したというスキャンダルを、苛烈とされる韓国の受験・就職競争に直面、あるいは経験が新しい若い世代が許すことはなさそうだ。

最大野党代表も「法難」を訴え

この「法難」に自らを重ねていそうな総選挙の主役級がもう1人いる。「共に民主党」の李在明代表だ。

彼は城南市長時代の都市開発事業をめぐる不正をはじめ、収賄や横領など複数の罪で起訴されている「不正の総合商社」だ。2024年4月2日にも公判が開かれたため、彼は選挙遊説を中断して法廷に立たざるをえなかった。

このあとも公判が予定されていて、13日間の公式選挙運動期間中、実に3日間も裁判所に出向かなければならないのだ。選挙運動期間における最後の公判は4月9日。投票の前日まで裁判所通いを強いられる。

さすがに日本では考えられない展開だが、一貫して無罪を主張する李在明氏は、こうした状況を「法難」よろしく自身に有利な方向に世論を誘導しようと余念がない。

4月2日、法廷に入る前に「貴重なときなのに選挙に集中できない状況なのは残念だ。これも『検察独裁政権』のもとで捜査・起訴の権利を濫用する『政治検察』が望んだ結果ではないか」と記者団に述べた。権力から選挙運動妨害という迫害を受けている、というわけだ。

以前、李在明氏のことを「韓国のトランプ」と日本のメディアが呼んだ時期があった。歯切れのいい演説はやや似ているものの政策の方向性がまるで違うので、ほどなくそうした比較は消えた。ただ、何度起訴されても「検察が政治的に偏向しているだけだ」と突っぱね、支持者たちの結束を強める手法は、確かにトランプ氏とそっくりだ。

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