「昭和・平成に幸せだった人」が今後ラクになる発想 川勝知事辞任にも学ぶ"アップデート"はどこまで必要か

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当時の筆者の認識がずれていた、あるいは現在のメディア報道が実態からずれていることもあるかもしれないが、川勝知事は、時代に合わせて言動や価値観のアップデートができなかったのではないか――と思わざるをえない。

2022年に牛丼の吉野家の取締役が、早稲田大学の社会人講座で女性に関する不適切な発言を行ったことが問題となり、解雇された出来事があったが、今回の川勝知事の問題もこのケースと類似している。

かつてであれば、さほど問題にならなかった発言が、現在では問題視されるようになった。

メディアの取材に対して、川勝知事は「最近、メディアのハラスメントが横行していることを憂いている。ジャーナリズム、あるいはメディアの質の低下を感じ、誠に残念なこと。切り取られた」と説明をしている。

この発言自体は、一面の真実を突いている。全体の文脈を踏まえず、一部の発言を切り取ってメディアが報道することで、真意が歪めて伝えられてしまうことは、過去から頻繁に起きている。さらに、特定の場所で発した言葉であっても、メディアやSNSを通じて、独り歩きして、無関係な第三者にまで広く伝わってしまう時代だ。

影響力のある人間は、もはやそこまで考慮、配慮をして言動せねばならないということだ。

“アップデート”はそんなに難しいのか

中高年世代の地位のある人が「老害」という言葉で批判されることが多いが、実際にその人に会ってみると、意外に紳士的で側近からの人望が厚かったり、実務能力が非常に高かったりすることも多い(だからこそ、そこまでの地位に上り詰めることができたのだろう)。

にもかかわらず、時代にあわせて言動をアップデートできなかったがために、能力に見合った地位が得られなくなったり、その立場から追われてしまうということが多々ある。その傾向は変わるどころか、今後ますます加速していくに違いない。

人が問題を起こす理由には、大きくわけて下記の2つがある。

1.倫理意識や遵法意識が欠けている

2.価値観が所属する社会の価値観とずれている

1の場合は、地位や年齢にかかわらず問題を起こしてしまうものであるし、改善することもなかなか難しい。しかし、多くの“旧世代”の人たちが起こす問題は、2によるものだ。この場合は、価値観や行動をアップデートすることで、十分に対応が可能であるはずだ。

しかし、1970年代~1990年代後半に青春時代を送った現在の中高年層の世代は、現在よりもリベラルな環境の中で育ってきた。筆者の高校生の頃は、パンクロックや尾崎豊が流行ったり、反原発運動があったりと、大人が作った既成の価値観に反発しながら思春期を過ごしてきた。

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