国民保守主義も「意識高い系」も自由を滅ぼす 表面的には対立する理念が実は通じ合う逆説

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国民保守主義は「自由民主主義のもとでは、グローバリズム勢力や『意識高い系』によって多数派が割を食う」と考える。

だから権威主義が魅力的に映るのです。

片や「意識高い系資本主義」は「自由民主主義のもとでは、政府は地球規模の問題はもとより、国内の問題についても有効な対処ができない」と考える。

だから国境を越えた少数支配が理想となるのです。

 

どちらの立場にも重大な欺瞞が潜んでおり、経世済民の達成など望みえないのは、すでに論じたとおり。

ただし重大なのは、自由民主主義が機能不全をきたしているという基本認識に関するかぎり、両者はそろって正しい可能性が高いことです。

待ち受ける二者択一とは

むろんこれは「グローバリズムには弊害が多いものの、ナショナリズムに徹するには地球規模の問題が多すぎる」というジレンマの現れ。

国民保守主義と「意識高い系資本主義」は、自由民主主義への幻滅から生まれた双子の兄弟のごとき理念であり、だからこそ本質において通じ合うのだと評さねばなりません。

そしてどちらの解決策も役に立たない以上、われわれは自由民主主義の再生を図ることで、未来への道を模索しなければならない。

決して容易ではないでしょう。

けれども模索に失敗すれば、待ち受けているのは「自滅的な権威主義か、富豪だけが栄える少数支配か」の二者択一なのです。

佐藤 健志 評論家・作家

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さとう けんじ / Kenji Sato

1966年、東京都生まれ。東京大学教養学部卒業。1989年、戯曲『ブロークン・ジャパニーズ』で文化庁舞台芸術創作奨励特別賞。1990年代以来、作劇術の観点から時代や社会を分析する独自の評論活動を展開。『平和主義は貧困への道』(KKベストセラーズ)をはじめ著書・訳書多数。またオンライン講座に『痛快! 戦後ニッポンの正体』(経営科学出版)、『佐藤健志のニッポン崩壊の研究』(同)がある。

 

 

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