川勝知事「知性の高い」発言がマズいこれ程の理由 「上から目線」「臆測による対比」あとひとつは?
囲み取材で川勝知事は、「知性の高い」発言が一部を切り取られて報じられたとの認識を示し、「全体の趣旨は『静岡県に奉仕する公僕として、しっかり勉強してください』。(約20分の全編を)ご覧いただければ誤解が解ける」などと主張。言論の自由は重んじているが、ジャーナリズムやメディアの「質の低下」を感じるとして、報道機関の責任を問うた。
たしかに昨今、センセーショナルな発言に焦点を当てる「切り取り報道」は問題視され、メディアの社会的責任が問われる場面も少なくない。しかし、文脈を踏まえるからこそ、よりアウトとなる発言もある。「全体」で見るからこそ、その根底にあるものが透けて見える。
皮肉にも、川勝知事の訓示も、そのひとつだ。静岡県公式のYouTubeチャンネルに上がっている動画を見ると、他にも際どいフレーズがある。たとえば訓示の終盤には、開催中の「浜名湖花博2024」に触れながら、「浜松市ってのはモノづくりの職工さんの街かと思っていたら、こんなキレイな所があるんだと」と発言している。
前段において、モノづくりを引き合いに出しつつ、職員の「知性の高さ」に触れておいて、後からこの表現をすれば、聞き手にどのような印象を残すだろうか。むしろ切り取らないことで、際立ってくるものもある。
統率力は、夢を見させるものであってほしい
今春入庁した県庁職員は、わずか2、3カ月で上司が変わることとなる。次期知事が誰になるかによっては、大幅な方針変更も考えられる。そもそも新生活の不安が募っているところに、「ボス」の交代も重なるとなれば、なおさら心配だろう。
リーダーシップを執るうえで、しかるべき人物が「強い発言」をするのは、テクニックとして効果的なのはわかる。しかし、その統率力は、誰かをおとしめたり、責任を押しつけたりして生まれるのではなく、ポジティブに、夢を見させるものであってほしい。
これは決して川勝知事に限らず、全国の首長や、ひいては民間の経営者にも言えることだ。誰かとの競争に固執するのではなく、自分の持ち味を最大限に発揮しようと試みることで、見える世界も変わってくる。職員のモチベーションを高めるためにも、夏には決まるであろう後任知事には、明るい未来を切り開いてほしいものだ。
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