近鉄一の「ザ・ターミナル」大阪阿部野橋駅の実力 乗降人員最多は「あべのハルカス」のおひざ元

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現在、天王寺・阿倍野エリアの中心になるのが白い屋根の歩道橋がぐるりと囲む「近鉄前」の交差点だ。南北方向の道路である谷町筋は、交差点から南であべの筋と名称を変える。地下には大阪メトロ谷町線、地上には阪堺電気軌道上町線の路面電車が走る。東西方向の道路はあびこ筋で地下に大阪メトロ御堂筋線が通っている。

大阪阿部野橋駅 西改札口
地上ホームを進んだ先にある西改札口(記者撮影)
大阪阿部野橋駅 あべのハルカス近鉄本店
西改札口の向かいは「あべのハルカス近鉄本店」の入り口。駅周辺にはさまざまな観光スポットがある(記者撮影)

交差点南東の大阪阿部野橋駅から時計回りに見ていくと、南西には大型商業施設の「あべのキューズモール」。近鉄グループのきんえいが運営するアポロビル・ルシアスビルの4階には映画館の「あべのアポロシネマ」が入る。きんえいは1937年創業の「大鉄映画劇場」をルーツとする。アポロビル前には空港リムジンバスが発着する「あべの橋駅(天王寺駅)」のバス停があり、大阪(伊丹)空港と所要時間約30分で結んでいる。

交差点の北西は大阪市立美術館や動物園がある天王寺公園。公園の入り口に位置する芝生広場「てんしば」は大阪市との協定により近鉄不動産が管理運営する。その奥に通天閣がそびえている。また、大坂冬の陣で徳川家康の本陣、夏の陣で真田信繁(幸村)の本陣となったことで有名な茶臼山は、大阪市内最大級の前方後円墳だ。

「人が集まる地域に」

そして近鉄前交差点の北東に位置するのがJRの天王寺駅。大阪阿部野橋駅から見ると、あびこ筋を北側に渡っただけだが、所在地は天王寺区に変わる。乗り入れ路線は関西本線(大和路線)・大阪環状線・阪和線。かつては南海電気鉄道の天王寺支線が天下茶屋と結んでいた。構内で営業中の「南海そば」の店舗がその名残という。

天王寺には関西国際空港方面の特急「はるか」や和歌山方面の特急「くろしお」が発着する。大和路線の大和路快速と阪和線の関空・紀州路快速は、天王寺始発の普通列車として鶴橋、京橋、大阪と大阪環状線を左回りに1周してから奈良方面や関空・和歌山方面に向かうので、慣れない人はとまどうかもしれない。駅ビルの「天王寺ミオ」にはファッション・雑貨の店舗やレストランが多数入っている。

大阪阿部野橋駅の新澤駅長は「昔はキタやミナミへ向かう乗換駅としての性格が強かったが、ハルカスなどの商業施設ができて人が集まる地域になった」と指摘する。ショッピングやレジャーのスポットがそろうエリアの玄関口として、同駅の役割も増していると言えそうだ。

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橋村 季真 東洋経済 記者

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はしむら きしん / Kishin Hashimura

三重県生まれ。大阪大学文学部卒。経済紙のデジタル部門の記者として、霞が関や永田町から政治・経済ニュースを速報。2018年8月から現職。現地取材にこだわり、全国の交通事業者の取り組みを紹介することに力を入れている。

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