マイナポイント「使われすぎ」、セブン銀行の悲鳴 制度の落とし穴にはまり数10億円もの損失発生

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損失のカラクリは、マイナポイント事業の制度設計にある。

マイナンバーカードを取得すると第1弾では5000円、第2弾では1万5000円分のポイントが受け取れ、各種キャッシュレス決済で利用できる。

反面、利用先に指定された決済事業者は、会計処理としてポイント付与額を売上高から控除したり、費用として計上したりする必要がある。このままでは事業者の持ち出しとなるため、国は付与したポイントと同額の補助金を交付することに決めた。

失効率をめぐる誤算

問題は、大抵のポイントに有効期限が存在することだ。期限が到来して失効したポイントは、会計上、事業者の収益になる。つまり、ポイントの全額に補助金を充当すると、失効分だけ事業者が得をする。

税金で事業者が潤う事態を避けようと、マイナポイント事業の事務局は参加を希望する事業者に対して、過去数年の利用実績に基づくポイントの「失効率」を事前に提出させた。失効が見込まれる分をあらかじめ控除し、実際に利用されるであろうポイントにのみ、補助金をあてがおうとしたわけだ。

マイナポイントの裏側では、複雑な会計処理が繰り広げられていた(記者撮影)

セブンカードが付与した「ナナコポイント」をめぐる損失は、この失効率をめぐる誤算にあった。

ナナコポイントにも有効期限が存在するため、セブンカードは事業への参加に先立って失効率を算出し、事務局に提出した。

次ページ第2弾で、問題が表面化
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