以前、北海道で地震があり、大停電があった時、「店内調理はできるが、おにぎりの具材がない」ということがあった。その時は、塩おにぎりを提供した。災害発生時、具材がない場合は塩おにぎりを提供するルールとなっているが、災害時でもそれぞれが状況に応じて考えられる従業員が揃っているのだ。
「雑談ができるコンビニ」という特徴もある。他のコンビニでも人によってはフランクに話してくれる店員もいるが、セイコーマートの場合は、常連が入ってきた瞬間に、「今日はマルマルないよ」とか「何はあるよ」という会話になる。「ここはスナックか」というほどの密着度があるのだ。
目指すのは「デイリーユースストア」
実際、同社が目指しているのは「デイリーユースストア」で、現社長がこれをコンセプトに掲げている。毎日必要な商品をリーズナブルな価格で買える店、というわけだ。小売業界に詳しい人は「Everyday Low Price(EDLP)」という言葉を聞いたことがあるだろうが、セイコーマートが掲げているのは、「Everyday Reasonable Price(EDRP)」。その目安として、弁当は500円を超えないように、おにぎりは120円〜130円に価格設定している。「200円のおにぎりは作りません」とはっきりと言っている。
北海道内のカバー率は非常に高く、179市町村中、175市町村で展開している(セブンは122市町村)。セイコーマートの場合、北海道の企業だということもあって、さまざまな自治体から「うちに作ってほしい」という要望が多いことも背景にある。
例えば、コンビニが一軒もない自治体から出店要請があったときは、コミュニティバスの待合所を作って、そこのメンテナンスコストを村からもらうことで採算を合わせる、ということをやった。そういうところも「庶民の味方」「地域密着」の典型だろう。
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