NTT西日本、辞任社長が語った「改革途上」の無念 顧客情報900万件流出の責任とり3月末で辞任へ

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――具体的にどんな事業で成長を見込んでいるのでしょうか。

まず自治体向けだ。(政府・自治体が扱う業務システムのITプラットフォームとなる)「ガバメントクラウド」の導入に伴い、2025年度末までにすべての自治体は国民年金や介護保険など20の業務システムを同クラウドへ準拠したものに移行することになる。

こうした20種類以外の業務システムについても、地域ごとのプラットフォームやプライベートクラウドのようなものが必要になってくる。そういったシステムのクラウド移行やセキュリティ、ネットワーク構築から日々のオペレーションに至るまで、NTT西がまるっと請け負う形での提案を始めている。

NTT西日本の森林正彰社長
森林氏は、新規事業育成に向けた種まきはできたと振り返る。写真は2022年(撮影:ヒラオカスタジオ)

一方、2023年5月にはマイクロソフトとの協業を開始し、「マイクロソフト365(旧オフィス365)」や「Azure(アジュール)」など同社のサービスを使いながら、自治体向けにシステムのクラウド化やDX関連などのソリューションを共同で提案している。

すでに一部では受注もとれているが、大きな案件が動き出すのは2024~2025年になるとみている。これには、かなりの伸びが期待できる。

学校向けのICTサービスや、高速の光回線「フレッツ 光クロス」も今後伸びていく分野だ。そのほか、直近では自動運転EVバスのシステム提供や、クラウドを使ったロボット管理などにも展開を試みている。

また、20年近く前から手がけている電子漫画「コミックシーモア」も順調だ。現在、電子漫画は北米市場向けに英語版を提供しているが、コンテンツの量を増やすことで、さらに強化していきたい。

技術者のスキルアップが課題

――マイクロソフトとの提携は、海外畑の森林さんの色が強く出ているように感じます。今後に向けて、積み残した課題は何でしょうか。

成長分野の事業を伸ばすためには、人材のスキルアップが不可欠となる。クラウドやセキュリティ、AI(人工知能)などの技術者を育成していく予定だ。

(リスキルや新規採用で)1000人規模でそういう技術者が集まってきており、準備は着々と進んでいる。

高野 馨太 東洋経済 記者

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たかの けいた / Keita Takano

東京都羽村市生まれ。早稲田大学法学部卒。在学中に中国・上海の復旦大学に留学。日本経済新聞社を経て2021年に東洋経済新報社入社。担当業界は通信、ITなど。中国、農業、食品分野に関心。趣味は魚釣りと飲み歩き。

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