「35歳以上はNG」清掃員求人に中国で沸く怒りの声 「35歳の壁」「学歴」全人代で印象に残る言葉

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李正国氏は企業が求人で年齢制限を設けることについて「IT企業などは長時間労働が常態化しており、若いほうが耐えられるし賃金も安く済むと考えがちだが大きな間違いだ。中国は人口ボーナスの恩恵を受け、労働者が有り余っていたので雇用側が強いが、今後は労働人口が減るのでこれでは立ち行かなくなる」と警鐘を鳴らした。

そのうえで、まず社会への影響が大きい公務員採用から35歳の年齢制限を撤廃し、求人で差別的な条件を設けることを取り締まる制度を導入すべきだと主張した。

「35歳の壁」については、学術界からも是正を求める訴えがあった。復旦大学数学科学学院の郭坤宇教授(政協委員)は研究者の国家プロジェクトの申請条件に35歳の年齢制限が設けられていることが多いと指摘。研究者の焦りにつながり、腰を据えて取り組むべき基礎研究の妨げになっているほか、女性研究者が結婚や出産を遅らせ「少子化」も招いていると見直しを求めた。

学歴至上主義の価値観修正を

中国人民大学教授で中国社会保障学会会長の鄭功成氏(全人代代表)は、年齢制限に加え、学歴至上主義の価値観の修正を訴えた。

中国は日本と比較にならない学歴社会で、若者の就職難を背景に大学院進学率が上昇の一途をたどる。鄭功成氏によると、若者が社会に出る年齢が上がるとともに、雇用側の「年齢の壁」によって就職がさらに難しくなり、袋小路に陥っているという。

鄭功成氏は「社会全体が低学歴者を見下し、人材採用において能力や人格より学歴を重視する風潮は、絶対に改めるべき」との考えを示した。

中国エアコン最大手の珠海格力電器トップで、中国を代表するたたき上げの女性経営者として知られる董明珠会長(全人代代表)はテレビ番組に出演し、2021年から流行語になっている「躺平(寝そべり族)」に持論を述べた。

寝そべり族は、格差の拡大を背景に「今の社会では頑張っても何も変わらない」と悲観し、努力をやめてしまう若者を指し、中国政府は「経済成長を阻害する」存在として苦々しい眼で見ている。

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