資生堂「1500人早期退職」へ追い込んだ2つの元凶 藤原社長が掲げた「4つの条件」に困惑する社員も
今回の早期退職募集は、資生堂ジャパンに所属する社員1500名が対象。2022年度の日本事業の従業員数1万1185人のうち1割超に相当する。45歳以上かつ勤続20年以上を要件とし、退職時年齢に応じた特別加算金等を積み増す。大規模な早期退職募集は2005年に、1000人規模で実施して以来となる。
なぜ資生堂は、ここまでの改革を迫られているのか。同社の日本事業は、2022年度のコア営業利益(営業利益から構造改革費用などの一時的な要因を除いた数値)が130億円の赤字に転落。翌2023年度には同18億円の黒字に浮上したものの、ピーク時である2019年度の営業利益910億円(IFRSへの会計基準変更前)に遠く及ばない。
主な元凶は2つある。1つ目は、インバウンド需要の剥落だ。2019年のコロナ禍以前、資生堂の化粧品は中国人観光客の“爆買い”対象となっていた。利益率の高い高価格帯スキンケア「クレ・ド・ポー ボーテ」などが飛ぶように売れていたが、コロナ禍で急激に低下してしまった。
2024年度の訪日外国人数は回復傾向にあるものの、消費行動の変化で中国人1人当たりの化粧品購入単価は低下している。さらに中国現地での安売り競争に巻き込まれた影響で、資生堂が手掛ける高価格帯のブランドイメージが毀損している懸念もある。
「TSUBAKI」「uno」売却も響く
2つ目は、パーソナルケア事業(日用品事業)の売却だ。2021年7月に資生堂は、長らく業績を底支えしてきたヘアケア「TSUBAKI」やメンズ化粧品「uno」といった有名ブランドを、投資ファンドのCVCキャピタル・パートナーズに1600億円で売却した。
魚谷雅彦社長(当時、現会長)CEO(最高経営責任者)が掲げる構造改革のもとで中・高価格帯のスキンケアなどを中心とした体制に舵を切ったためだ。
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