JR北海道H100形、「旧国鉄色」装飾列車導入の狙い 「個性的な車両」で日高本線と室蘭本線をPR

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9時15分ごろ、苫小牧駅の1番線ホームにH100形のラッピング車両が入ってきた。プレ運行に使用された日高本線ラッピング車両は国鉄一般気動車標準色をベースに、胆振地域を象徴する馬や恐竜のイラストが描かれている。到着後に記念撮影が行われ、各市町の首長と抽選で選ばれた25人の乗客が車両に乗り込んだ。プレ乗車は苫小牧市が沿線市町在住者や通勤通学者を対象に募集し、市の担当者によると締切日の2月6日までに97人の応募があったという。定員25人の約4倍の応募があったことになり、広報活動は一定の成功を収めたと言える。

苫小牧市などの沿線市町の首長やキャラクターと記念撮影するプレ運行の乗客たち(筆者撮影)

9時20分、清水一仁苫小牧駅長の出発合図でプレ運行列車が発車。日高本線鵡川駅まで1往復した。

H100形ラッピング車両は、これまでも石北本線や釧網本線などの沿線風景を描いたデザインの車両が登場している。1両製造するためには約3億円の費用が必要で、これを国(鉄道・運輸機構)と北海道が折半して捻出。北海道高速鉄道開発株式会社が車両を保有し、JR北海道が同社から無償で車両の貸与を受けて運用するという仕組みだ。車体にも北海道高速鉄道開発の銘板が設置されているほか、車内に乗客にこれらのスキームを説明するステッカーが貼付されている。今回登場した車両も同様の仕組みで製造されており、内装はこれまでのラッピング車両と同一。定期運用のほか、イベント開催時などには観光列車としても使用できる。2023年度中に、根室本線および宗谷本線のラッピング車両も登場する予定だ。

鉄道・運輸機構と北海道の支援を受けたことを説明するステッカー(筆者撮影)

今回は日高本線と室蘭本線をイメージしたラッピングだが、現時点では設備の関係上、日高本線をワンマン運転で走行できないため、室蘭本線の長万部―苫小牧間と東室蘭―室蘭間で普通列車として運用される。

恐竜や馬、炭鉄港を前面に押し出したデザイン

10時20分過ぎ、日高本線ラッピング車両が苫小牧駅に帰ってきた。乗客を降ろした後いったん引込線に入り、室蘭本線ラッピング車両が入線していた4番線ホームに進入。10mほど離れた位置で展示された。ドアが開放され、車内を自由に見学できるようになっている。

日高本線ラッピング車両のH100-85。胆振の馬と恐竜をデザインしている(筆者撮影)

日高本線ラッピング車両は、山側と海側でデザインが異なる。日高胆振のアイヌ文化を象徴する紋様が描かれ、それぞれの側面に馬の産地を表すイラストと国内最大の全身骨格化石「カムイサウルス・ジャポニクス」(通称「むかわ竜」)をあしらった。

恐竜の表皮をよく見ると「ヒダカセン」の文字が隠れている(筆者撮影)
室蘭本線ラッピング車両のH100-84(筆者撮影)
国鉄時代とフォントは異なるが、「セキ3000」の表記もある(筆者撮影)
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