村上ファンド「あおぞら銀行」に触手を伸ばす意図 あっという間に筆頭株主、「あの銀行」と再編も

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だが、思惑のズレから翌2010年5月に交渉は打ち切られた。2010年3月末時点の自己資本比率は、あおぞら銀の15.2%に対して新生銀(現SBI新生銀)は6.3%。資本の厚いあおぞら銀に主導権を握られることを新生銀が懸念した。

地方銀行との連携を深めたいあおぞら銀と、リテール業務を拡大したい新生銀という路線の違いも浮き彫りになった。

2009年7月、経営統合で合意したあおぞら銀のブライアン・F・プリンス社長(左)と新生銀の八城政基社長(右、ともに当時)(撮影:尾形文繁)

破談から14年が経ち、両行の立ち位置は一変した。あおぞら銀の自己資本比率が6%台にまで落ち込む一方、SBI新生銀は3月に第三者割当増資を行い約10%まで回復する見通しで、主導権は後者に移った。加えてSBI新生銀はリテールのほか、SBIグループが出資する地銀との協業も推進しており、あおぞら銀との相乗効果は当時より生み出しやすくなっている。

村上氏と北尾氏、浅からぬ付き合いも

村上世彰氏と北尾吉孝氏には浅からぬ付き合いがある。2021年にSBIHDが新生銀にTOB(株式公開買い付け)を行った際には、株主だったシティも応募している。2023年9月の非公開化後には、同じく旧村上ファンド系のエスグラントがSBI新生銀の株主として名を連ねる。

関係者によれば、村上氏はSBI新生銀の非公開化に先立ち、株主として残る旨をSBIHDの北尾氏に伝えていたという。あおぞら銀株の取得についても、「すでに村上氏は北尾氏に売却の話を持ちかけている」(市場関係者)と指摘する向きもある。

アクティビストの暗躍によって、メガバンクでも地銀でもない第三勢力の結集となるか。

一井 純 東洋経済 記者

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いちい じゅん / Jun Ichii

建設、不動産業の取材を経て現在は金融業界担当。銀行、信託、ファンド、金融行政などを取材。

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