代表的な事例を1人紹介したいと思います。東京大学経済学部に推薦で合格した原田怜歩(はらだ・らむ)さんは、「オールジェンダートイレの研究」という、ほとんどの人が研究しないようなテーマの研究が評価されて合格しています。
彼女は、高校時代にアメリカにおけるオールジェンダートイレの普及状況調査を行い、トイレにおけるジェンダー課題を解決するためのチーム「Plunger」を立ち上げ「SDGsを漫画で学べるトイレットペーパー」を製作、「日本トイレ大賞2021」を受賞するなど、「トイレの研究」というとてもニッチな分野で大きな成果をあげました。
それが評価され、東大に推薦合格することができたのです。このように、「ニッチなものであってもいいので、突き抜けたものがあるかどうか」が評価されると言えるのだと思います。また驚きなのは、彼女は特別に東大推薦の受験のための準備をほとんど行わなかったそうです。
前日に学校の先生から「受けてみないか」と言われて、たった1日の準備で1次試験を突破し、2次試験の準備も特別なものはほとんど行っていない状態だったにもかかわらず合格したのだと言います。このように、テクニックで攻略できる入試形態でないのも、選抜入試の1つの特徴だと言えるでしょう。
ほかの東大推薦生たちに話を聞いても、「カニの研究だったら誰にも負けないほど研究を行った」と語る人や、「生徒会活動に関してグランプリを取るほど頑張った」という人など、その多くが「突き抜けた個性を持っている人」でした。
やはりそういう人の方が積極的に評価される可能性が高いのだと考えられます。これからも新しい入試形式から目が離せませんね。
(注記のない写真:yu_photo / PIXTA)
執筆:西岡壱誠
東洋経済education × ICT編集部
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