和田秀樹「認知症予防に脳トレは無意味」語る根拠 脳の活性化に有効なのは「他人と会話すること」

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しかしそれは脳全体の機能が活発化しているわけではなく、単に数独ができるだけのこと。他のテストの成績がよくなることはありません。このことはいろいろな実験で明らかにされていて、脳トレといわれるものは数独でも百マス計算でも、認知症予防という観点からはほとんど無意味です。

国際的な科学雑誌『ネイチャー』やアメリカの医学会雑誌『JAMA』でも、いわゆる脳トレの効果にまつわる大規模調査の結果が発表されています。

そのうちの一つ、アラバマ大学のカーリーン・ボール博士による2832人の高齢者に対する研究では「言語を記憶する」「問題解決能力を上げる」「問題処理能力を上げる」などのトレーニングをした場合、練習した課題のテストの点だけは上がるのですが、他の認知機能は上がらないことがわかっています。与えられた課題を繰り返し行えばそのことはできるようになっても、脳全体の活性化にはつながらないのです。

脳のトレーニングに有効な他人との会話

ではいったいどうやって「頭を使う」といいのか。私の経験上、もっとも効果が高いと思われるのは、他人との会話です。他人としゃべる時には強制的に頭を働かせる必要があります。自分が話したことに対して相手からの反応が返ってくるというやりとりで「頭を使う」ことが、有効な脳のトレーニング法となるのです。

普段から頭を使っているつもりの人でも、認知症と強い関連のある前頭葉は案外と使っていないものです。読書は言語を司る側頭葉を使うだけですし、計算やある程度難しい数学の問題を解く時も頭頂葉しか使っていません。

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