和田秀樹「認知症予防に脳トレは無意味」語る根拠 脳の活性化に有効なのは「他人と会話すること」

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かつて前頭葉を切り取ることである種の精神病を治療することを目的とした「ロボトミー手術」というものがありました。さまざまな問題が起きたため、今では行われなくなりましたが、この手術の後でも知能指数はまったく落ちなかったといいます。

つまり、前頭葉は一般的な知的活動には使われていないのです。前頭葉が使われるのは、何かを創造したり新規なものに対応したりする時で、前頭葉が老化すると、決まった行動を好むようになります。

さまざまなことに挑戦して前頭葉を鍛えよう

行きつけの店にしか行かなくなったり、同じ著者の本ばかり読むようになるのが一つのサインです。逆に言えば、新しい店に出かけたり、読んだことのない作家の小説を読んだり、可能ならば俳句を詠んだり小説を書いてみると前頭葉が鍛えられます。

『「健康常識」という大嘘』(宝島社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

日本では大学でもあまり前頭葉を使う教育をせず、仕事でも自分で考えたことをやるのではなく「言われたことができればいい」という風潮が強いため、前頭葉を使うことが苦手な人も多いのですが、まだまだ続く長い人生のためにもぜひチャレンジしてください。

また最近の研究では、きちんとした対処をすれば認知症の進行を止めるだけでなく、知能が回復する可能性も指摘されています。

幹細胞や上清液を使って生きている脳を元気にしようという治験を行っているグループがあるのですが、そこで聞いた限りだと、それらの処置をすることで長谷川式認知症スケール(簡易的な知能検査)などの点数が上がるそうです。

こういった研究が進めば、将来的には萎縮した脳を復活させることが可能になるかもしれません。

和田 秀樹 精神科医

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わだ ひでき / Hideki Wada

1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェロー、浴風会病院精神科医師を経て、現在は和田秀樹こころと体のクリニック院長。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わる。『70歳が老化の分かれ道』(詩想社新書)、『80歳の壁』(幻冬舎新書)、『60歳からはやりたい放題』(扶桑社新書)、『老いたら好きに生きる』(毎日新聞出版)など著書多数。

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