「裸になって向き合った」ハンセン病回復者の人生 新作ドキュメンタリー「かづゑ的」熊谷監督に聞く
――映画の中で、かづゑさんはまったく壁を作っていないように見えます。どうすれば相手に壁を作らせずに撮影できるのでしょうか。
私には映画作りの3原則がある。①ラブレターを書く、②気持ちのうえで相手に裸になってもらうために、自分も裸になる、③テーマ全体についてきちんと勉強する。
「あなたが好きだ」、「撮りたい」という気持ちをまっすぐに伝え、そして自分自身も“裸”になる。勉強をして知識を得て、大事なことに気付けるようにしておく。これらを心がければ大体うまくいく。
撮影中は、質問を頭で考えるというより、相手が口にした言葉に反射的に返せたほうがいいと思っている。飛んできたボールをいかに返すかは「映像的運動神経」を駆使する。そのほうが、自分のイメージに当てはめた作品を作るより、予想外のものができて面白い。
かつて水泳の飛び込みをしていた。だから私には、とりあえず飛び込んでみる習性がある。理屈ではなく、皮膚感覚的な部分で、「とりあえずやってみよう」と。
「かづゑ的」も、そういう心構えで撮ったつもりだ。
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