「裸になって向き合った」ハンセン病回復者の人生 新作ドキュメンタリー「かづゑ的」熊谷監督に聞く

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――映画の中で、かづゑさんはまったく壁を作っていないように見えます。どうすれば相手に壁を作らせずに撮影できるのでしょうか。

私には映画作りの3原則がある。①ラブレターを書く、②気持ちのうえで相手に裸になってもらうために、自分も裸になる、③テーマ全体についてきちんと勉強する。

「あなたが好きだ」、「撮りたい」という気持ちをまっすぐに伝え、そして自分自身も“裸”になる。勉強をして知識を得て、大事なことに気付けるようにしておく。これらを心がければ大体うまくいく。

熊谷監督(左)と、娘で助監督を務めた土井かやのさん(撮影/大月えり奈)

撮影中は、質問を頭で考えるというより、相手が口にした言葉に反射的に返せたほうがいいと思っている。飛んできたボールをいかに返すかは「映像的運動神経」を駆使する。そのほうが、自分のイメージに当てはめた作品を作るより、予想外のものができて面白い。

 かつて水泳の飛び込みをしていた。だから私には、とりあえず飛び込んでみる習性がある。理屈ではなく、皮膚感覚的な部分で、「とりあえずやってみよう」と。

「かづゑ的」も、そういう心構えで撮ったつもりだ。

大月 えり奈 ルポライター

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おおつき・えりな

1974年生まれ。ブリッジ・ジャパン、日本放送協会(NHK)、CBホールディングス(医療、介護、障害分野での執筆)などを経てフリーランス。

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