入札で不正?欧州向け「中国製車両」に疑惑浮上 ブルガリアの車両案件「外国補助金規制」抵触か
もしCRRCの行為が不正とみなされれば、今後どのような影響が予想されるか。
CRRCは現在、ヨーロッパの鉄道市場においては本格的な参入には至っておらず、先般のチェコ国内における連接電車「シリウス」や、ハンガリー鉄道貨物部門のレールカーゴ・ハンガリア向け汎用型機関車「バイソン」が、走行距離を伸ばすためのテスト営業を行っている。一方、オーストリアの民間企業ウェストバーン向けの2階建て電車は、まだ乗客を乗せたテスト営業には至っていない。
つまり、いずれも仮契約のようなもので、ハンガリーとウェストバーンの場合は中国側が車両を貸し出す「リース契約」という形を採っている。もし、今回の件で違法行為があったと認められた場合、これらの本契約に黄信号が灯ることになる。
欧州でのCRRCの未来は…?
既報の通り、連接電車シリウスはもともと、チェコの民間企業「レオ・エクスプレス」が導入する予定で契約したが、認可取得の遅れで契約を破棄され、行き場を失っていたところを同じチェコの民間企業「レギオジェット」が救いの手を差し伸べ、走行距離を稼ぐための試験走行に協力することになった。
その結果次第では、レギオジェットがCRRCと正式に契約し、これらの車両を購入する可能性もあっただろう。
ただチェコ共和国は、もともと中国に対する国民感情がいいとは言えず、テスト走行についても「なぜ中国に手を貸すのか」「中国の車両はいらない」といった否定的な意見が市民のコメントのみならず、マスコミからも聞こえてきたほどだ。チェコ政府も政権交代により、「脱・親中」へ舵を切り、
この不正疑惑によってチェコ国民の目はより厳しいものとなり、レギオジェットが本契約から手を引く可能性は否定できないだろう。
チェコとは対照的に「親中」といわれるハンガリーの場合は、結果次第では導入へ傾く可能性もあるが、オーストリアのウェストバーンは利用者の感情を配慮した場合、リース契約が破棄される可能性が高まるかもしれない。
地道に努力を重ね、ようやくチェコで乗客を乗せたテスト走行を開始するところまでたどり着いたCRRCだったが、ここで大きな局面の変化を迎えることになった。はたして、この調査結果はいかなるものとなるか、その結果次第で欧州におけるCRRCの未来は大きく変わることになるだろう。
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