入札で不正?欧州向け「中国製車両」に疑惑浮上 ブルガリアの車両案件「外国補助金規制」抵触か

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欧州委員会は、CRRC青島四方機車から受領した通知の予備審査を行った結果、同社がEU市場を歪める「外国からの補助金」を受けていたことを示す十分な証拠があったことから、詳細な調査を開始することが正当であると判断した、としている。

そのため欧州委員会は、外国からの資金が同社に利益を与える補助金であるか、そのために同社が不当に有利な条件で応札できたかどうかを評価する必要がある。

欧州委員会のプレスリリースには、「外国からの補助金」がどの国からのものか、といった明確な記述はなく、現時点ではあくまで調査中のため、詳細な情報については明らかにされていない。ただ、ヨーロッパのマスコミの論調は、それが中国政府からのものだということを暗に示している。

「公平な競争」重視するEU

中国政府からの資金でCRRCが不当に有利な条件で応札していたとなれば、これまで厳しい競争ルールが適用されてきた欧州系メーカーは不公平に感じることだろう。とはいえ、CRRCが国家による経済的支援を受けていたことが事実であれば違法とみなされ、入札のやり直しはもちろんのこと、下手をすると欧州市場への参入禁止という厳しいペナルティも否定できない。

外国補助金規制は2023年7月12日に施行され、この新しい規則により、欧州委員会は今回のような外国からの補助金による違反行為に対処できるようになった。その結果、EUは貿易と投資の開放を維持しながら、欧州域内市場で活動するすべての企業にとって公平な競争条件を確保できるようになった。

EUでは加盟国に対する特定企業への補助金を原則的に禁止しているが、外国からの補助金を受けた企業がEU域内の企業を買収したり、公共調達の契約を獲得したりする際に、補助金による不当な優位性でEU域内市場の公正な競争を歪めていることが懸念されていた。規制はそれを受けての施行であった。

CRRCは2024年1月22日に届出書を提出していることから、欧州委員会はそこから起算した110営業日以内となる2024年7月2日までに最終的な決定を下すことになる。

CRRC シリウス ヴェリム試験場
チェコのヴェリム試験場に留置されるシリウス(右)(撮影:橋爪智之)
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