日本が後れを取る「医療通訳」外国人には死活問題だ 今後増加する「外国人旅行者」への対応も必要
皆さんは外国語をどの程度話されるだろうか? 海外旅行に行き、レストランで料理を注文したり、服を買ったり、バスやタクシーに乗るのに不自由しない方は旅行に慣れている方ならまあまあいるかもしれない。では、体調が悪くて医療機関を受診する場面を想定してほしい。海外で医療機関を探せるだろうか? 頭がガンガン痛むとか、胃がつかまれるように痛む、といった説明は外国語でできるだろうか? 外国語でしっかり病状を説明できる、という方は少ないのではないか。
そのようなときのために必要とされるのが医療通訳だ。専門的な医療用語はもちろん、その国の医療事情についても知識があり、話す人の感情を読み取って通訳するスキルを指す。
日本に住んでいる外国人は医療受診で困っている
在留外国人に対する基礎調査(令和3年度) 調査結果報告書によると、「どこの病院に行けばよいかわからなかった」「病院で症状を正確に伝えられなかった」と答えた人は20%以上おり、「技能実習」「家族帯同」(日本で働く技人国などの配偶者・子供)「特定活動」の在留資格を持つ人の4人に1人が「病院の受付でうまく話せなかった」と回答しており、「病院で症状を正確に伝えられなかった」割合は30%以上だ。
通算在住年数が1年未満の場合、「病院の受付でうまく話せなかった」「どこの病院に行けばよいかわからなかった」と答えている人は3割、「病院で症状を正確に伝えられなかった」と答えている人は5割にものぼっている。日本に3年以上10年未満滞在している人でも3割が「どこの病院に行けばよいかわからなかった」と回答している。
「効果的に言葉を使うことができる」「長い会話に参加できる」と答えた日本語能力が高い人でも、4人に1人が「どこの病院に行けばよいかわからなかった」と答えている。日本に住む外国人で、医療受診に困難を感じている人が多いことが理解いただけよう。
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