名選手の「テスト入団」山あり谷あり人間ドラマ 沢村賞の西本聖や"平成の怪物"松坂大輔など

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その言葉を励みに、「1打席1打席を大切にしよう」と決意を新たにした畠山は、持ち前の練習熱心さで努力を続け、移籍2年目の92年から3年連続二桁本塁打をマーク。打率.281、14本塁打、72打点を記録した93年シーズン終盤には4番も務め、同年から3年連続オールスターに出場した。

夏の甲子園で投げ合った早稲田実・荒木大輔と、横浜時代の96年にチームメイトになったのも、不思議な因縁と言えるだろう。

恩返しを誓った松坂、6勝を挙げカムバック賞

甲子園のヒーローといえば、“平成の怪物”の異名をとった松坂大輔も、ソフトバンクを自由契約になった直後の2018年1月に中日にテスト入団している。

3年契約総額12億円という破格の条件で9年ぶりに日本球界復帰をはたした松坂だったが、ソフトバンク時代は右肩の故障に苦しみ、在籍3年間でわずか1試合1イニングの登板で終わった。

一時は引退も選択肢に入れたが、「ケガをして投げられずに辞めることはしたくない。悔いのない野球人生だったと思えるまで前に進みたい」の思いから、99年の西武ルーキー時代に2軍投手コーチだった中日・森繁和監督に相談。

森監督も「10勝、20勝しろなんて言わない。やり尽くすまでやればいい」と後押しし、1月23日、ナゴヤ球場の室内練習場で非公開の形で入団テストが行われた。

捕手を立たせ、直球、カーブ、スライダー、チェンジアップの計22球を投げたところで、本人はまだ投げるつもりだったのを森監督が制し、「着替えてしっかり(入団)会見をやってこい」と合格を告げる。

「ここ何年も投げられていないので、大きなことは言えないが、いろんな人に恩返しするために、まず1軍のマウンドに立つことが目標。チームが少しでも上に行けるような存在になれるようにしたい」と誓った松坂は同年6勝を挙げ、カムバック賞を手にした。

(文・久保田龍雄)

●プロフィール
久保田龍雄
/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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