業績絶好調のIT企業で「人が減らされている」怪 大量採用の反動に加え、AIシフトの重大影響
2019年末から2023年にかけて、家から出られなくなった人々は新しいコンピューターにじゃんじゃんお金を使い、以前よりもっと多くの時間をオンライン空間で過ごすようになった。そのようにして起こった爆発的な消費者需要の高まりに、テック各社は大急ぎで対応。アップル、アマゾン、メタ、マイクロソフト、そしてグーグルの親会社アルファベットは、合わせて90万人以上を新規に雇用した。
ブームが終わると、各社は調整を余儀なくされた。メタ、アマゾン、マイクロソフト、グーグル、アップルは2021〜2022年のピーク時に対し、従業員数を合計で約11万2000人カットした。それでもまだ、組織の規模と利益はパンデミック前を大きく上回っている。
前述の5社の現在の従業員数は216万人と、パンデミック前より71%も多い。5社合計の売り上げ高は直近会計年度で1兆6300億ドルにのぼり、5年前と比べ約81%増えている。
ウォール街はそれに見返りを与え、メタ、アマゾン、マイクロソフト、グーグル、アップルの時価総額は過去1年で合計3兆5000億ドル近く増えた。
生成AIはあらゆる企業の優先順位を変えた
いくつかの企業で目立った人員削減が行われているとはいえ、テック業界の雇用は全体として立ち直りに向けて良好な状態を維持している。テクノロジー教育・研究機関のCompTIA(コンプティア)によれば、テック業界の1月の新規雇用者数は1万8000人で、2カ月連続の雇用増となった。業界の失業率は3.3%と、全国平均の3.7%より低い。
「イノベーションに強く注力したあと、振り子が揺れて最終利益に強く注力するサイクルを私たちは繰り返している。アマゾンがアレクサ部門の従業員を削減しているという報告や、グーグルがピクセル携帯電話部門のスタッフを削減しているという報告を読むと、利益への注力が起こっていることがわかる」と、コンプティアの最高リサーチ責任者ティム・ハーバートは言う。「減らせる部署の人員を減らしながら、リソースの再配置を行っている」ということだ。