迷路を夢中で解く子どもの「地頭がよくなる」秘密 落ち着きのない子も算数嫌いも変える"遊び"

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めいろは未就学児でも楽しめる「学びになる遊び」ですが、せっかく買ったんだからとばかりに「頭がよくなるよ!」とか「おもしろいからやってごらん!」などと言って渡すことだけは、どうかおやめください。

楽しいはずのめいろが、こなすだけの「作業」になってしまいかねないからです。どんなことでも自ら楽しんでいるときの集中力は凄まじく、没頭している間はあらゆる能力が伸びるといっても過言ではありません。

意欲を呼ぶ「渡し方」とは

では、どのように渡せばいいのでしょうか。いちばんいいのは「さりげなく隠しておく」ことです。

隠すといっても、見つけられなければ意味がありません。リビングの別の本の下などに表紙がチラッと見えるようにする程度の隠し方で十分です。

そして、子どもが見つけるまで我慢しましょう。

新しいものに敏感ですから必ず気づきます。そうして子どもが自分で「発見」すると、好奇心のエンジンがかかるのです。

買ってもらった高価なおもちゃより、自分で拾ってきたどんぐりや石などに夢中になった記憶はありませんか。それと同じです。大人が熱心にすすめたり渡したりするほど子どもが興味を失うことは、往々にしてあります。

発見させて興味を抱かせたら、放っておきましょう。

何か聞かれたら、それにだけ答えればOKです。

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「こうすれば簡単だよ」とか「なんでこんなやり方するの。こっちのほうが早いでしょ」などという「指導」が始まると、子どもはげんなりしていくばかりです。大人なら「やらされ仕事」でも頑張れますが、幼い子どもには無理というもの。もちろん脳も活性化しません。

子どもが「できた!」と教えてくれたら、その成功体験に思いきり共感してあげるのが、大人にできる最高の仕事です。

ぜひ、お子さんを信じ、お子さんが自ら選んで試行錯誤する姿を誇らしげに眺めてください。こで幾多の経験を積みながら成功体験を得ることこそが、「地頭のいい子になってほしい」という親の願いを叶える、いちばんの近道なのですから。

高濱 正伸 花まる学習会代表

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たかはま まさのぶ / Masanobu Takahama

1959年熊本県生まれ。県立熊本高校卒業後、東京大学に入学。1990年同大学院修士課程修了後、1993年に小学校低学年向けの学習教室「花まる学習会」を設立。父母向けに行なっている講演会は毎回、キャンセル待ちが出るほどの盛況ぶり。「情熱大陸」(毎日放送/TBS系)、「カンブリア宮殿」「ソロモン流」(テレビ東京)など、数多くのテレビ番組に紹介されて大反響。「週刊ダイヤモンド」(ダイヤモンド社)、「AERA with Kids」(朝日新聞出版)などの雑誌にも多数登場している。『伸び続ける子が育つお母さんの習慣』(青春出版社)、『わが子を「メシが食える大人」に育てる』(廣済堂出版)など、著書多数。

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