日産・ゴーン社長、「強気の計画」を語る
シェアは努力目標 利益率はコミットメント
「中期計画では今後6年間の方向性を示した。それによって、優先順位を明確にできるし、事業に継続性をもたらす。
世界シェア8%はターゲット、いわば努力目標だ。一方で営業利益率8%はコミットメントに近い(10年度実績6・1%)。こちらは16年度と言わず、できるだけ早く達成したい。成長は重要だが、利益率をより厳しく追求する。
ボリュームは利益を向上させる最大のテコ。両立は可能だ。しかし極めて特別なマネジメントが必要になる。たとえば担当者は成長のためにもっと投資をしたい、人員を増やしたいと思う。そこに利益率のプレッシャーがあれば、担当者は強制的に効率化を進めなければならなくなる。設備投資と研究開発についても、売上高の9%というキャップを付け、規律を持って管理する」
過去の中期計画では、日産は何かしら課題を抱えたままのスタートだった。しかし今回は違う。世界販売は好調を維持。東日本大震災からもいち早く生産復旧のメドをつけた。これまで積み上げた戦略の果実を取る時だ。ゴーン社長の自信の裏にはそんな思いが見え隠れする。
中期計画ではシェアと利益率の両立のため六つの戦略を策定しているが、その第一の柱に“ブランドの向上”を置く。なぜブランドなのか。
「社外のコンサルタントに依頼して、日産の損益改善のポテンシャルを測ってもらった。そうしたらそのうちの50%以上がブランドにかかわる部分だとわかった。地域ごとのトップブランドと同等の車を出した場合、本来なら同じ価格で同じ台数を販売できるはず。その差がブランドだ。現在では各地域ごとに明確なベンチマークを持っており、ブランドパワーをさらに増大させたい。
日産のブランドとは、革新性、ワクワク感、モビリティ・フォー・オールの三つ。スポーツカーの『GTR』や電気自動車(EV)の『リーフ』には革新性がある。運転して楽しい車がワクワク感。そして手頃な価格で幅広い商品を提供することが、日産だと思う」