日産・ゴーン社長、「強気の計画」を語る
EVは年50万台で採算ベースに乗る
市場別では、新興国が成長の柱となる。台数増のうち、3分の1が欧米などの成熟国、3分の1が中国、残りがブラジルやロシアなど中国以外の新興国を想定している。
日産にとってすでに販売台数の4分の1を占める中国では、12年初めに生産能力を現在の約35%増の年120万台へ増やし、市場シェア10%(現6・2%)を目指す。が、中国市場は4月から2カ月連続で前年割れとなるなど減速が目立つ。
「現時点で中国への投資がリスクだとは思わない。中国は年1800万台市場。今後市場が成長しなかったとしても、シェア10%を狙うには生産能力が足りない。設備を増強しないと中国におけるアジアのトップブランドの地位を維持できない。そのほうがリスクだ」
新興国ではパートナーの力を活用する。中国では東風汽車との関係を強化、タイでは三菱自動車の現地工場でピックアップトラックの生産を委託する。そしてロシアでは最大手のアフトワズに出資し、同社の生産能力を活用する計画だ。自前を貫くトヨタやホンダと異なり、“日産のDNA”とまで言う提携戦略が、強気の計画を支えるベースとなる。
大株主である仏ルノーとは、プラットホーム(車台)や部品共有化を一層進める。そこに10年春に資本提携した、独ダイムラーなど他のパートナーの参画も想定する。
「ルノーとは非常に実際的な体制になっている。提携で重要なのは、各社の業績に寄与すること、そして各社のアイデンティティに対する脅威になってはならないことだ。
日産に足りない分野は色々あるが、提携をすることが目的ではない。車台共有化など、消費者の関心のないところで提携を生かす」