YKK新社長に生え抜きの猿丸氏が就任、吉田会長と2頭体制に 「顧客視点に立った、実行、迅速重視の事業運営目指す」
猿丸新社長は、「私は17年間の米国駐在の経験があるが、当社ではそのくらいでは国際畑とはいわない。私自身の経歴でいえば、東南アジアでの拠点を拡大するためのプロジェクトに携わったことと、グローバルなマーケティングに携わったことが現在の礎になったと思う。ファスニング事業本部長としては、リーマンショック前後に苦労したが、体質強化によって売り上げが伸びずとも利益が出せる体制ができたと考えている」とこれまでを振り返ったうえで、新社長としてのミッションについて以下のように述べた。
「YKKはモノづくりにこだわるメーカーで、製品の完成度を追い求めてきたが、製品が『商品』となって顧客の価値になるよう、顧客重視の視点がもっとも重要だと考える。当社では定期的に顧客の評価を聞いているが、『品質はいいが高い』とか、『柔軟性、スピードが足りない』といった厳しい意見もある。市場変化のスピードについていけていない部分もあるのではないか。Execution(実行)、Speed(迅速)を事業運営のポイントとして取り組んでいきたい」。
YKKでは、13年3月期を最終年度とする現行中計で、「売り上げが伸びない事業環境下でも、利益を確保する」「技術力のさらなる強化」を重要ポイントとして掲げており、業績目標として13年3月期の売上高6250億円、営業利益500億円(うちファスニング事業は売上高2600億円、営業利益290億円)を掲げる。
中計2年目に当たる前11年3月期は、売上高5448億円(前期比2%減)、営業利益324億円(同75%増)と、リーマンショック後の落ち込みから大きく回復した。今期業績見通しは震災の影響もあって開示していないが、折り返し後の残り2年で目標を達成することが、新社長に期待される最大の課題となりそうだ。
(勝木 奈美子 =東洋経済オンライン)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら