「話がつまらない人」は説明の"型"を知らない 「ウケ狙いしているのがイタい」と思われないために

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そして、もう1つの重要な気づきは、そのような話や説明には、パターン化できる「型」のようなものが潜んでいること。例えば、若手ナンバーワンの世界史講師は講義の冒頭で、こんな話をします。

「なぜ、四大文明が発祥したか、わかる? それはね、大きな河があったから。そもそも、人の体のおよそ60%が水でできてるでしょ。だから、つねに水分を補給できる河の畔で生活するのが人間にとってベストだよね。それに、農作物を育てるにも水分が必要。モノを運搬するには水路が便利。だから、大きな河の流域で文明が発達しやすいんだ」

この説明を聞いて面白いと思ったと同時に、パターン化できる「型」のようなものが潜んでいることに気づいたのです。「型さえ知ることができれば、不器用な自分にも真似できるかもしれない!」もう後がなくなっていた私に、かすかな希望の光が射し込んだ瞬間でした。

そして実際に、話す内容を1つの「型」にはめて話してみると、生徒の反応がそれまでとは明らかに変わりました。“受験化学”という地味なネタにもかかわらず、熱心に聞いてくれるようになったのです。

この経験をきっかけに、さまざまな「型」を見出し、使えるようになりました。その結果、自分が担当する季節講習会では満員御礼が続出。季節講習会での化学の受講者数は、なんと日本一になったのです。

その後、独立した私は、“説明のプロ”として、企業向け研修などを通して2万人を超える経営者やビジネスパーソンの話し方のトレーニングを行ってきました。その事例1000人分以上を分析、さらに大学院での言語化の研究という知見も踏まえ、今の時代に必要な説明の「型」を完成させたのです。

話が面白いと活躍の舞台が広がる

ここで、「いや、自分は話すことを本業にしているわけではないから、説明に面白さなんて必要ない」「別に説明で相手の興味を引くことができなくたって、クビになるわけじゃないし」、こう思った方もいるかと思います。

ただ、それでも相手に面白いと思ってもらえる話や説明ができるというスキルは、予備校講師だけに求められているわけじゃないと考えています。なぜなら、「話がつまらない人」というレッテルを貼られてしまうと、本人が気づかないうちに、せっかくのチャンスを逃してしまう可能性があるからです。一方、「この人の話、すごく面白い!」と思われると、活躍の舞台がどんどん広がっていくことになります。

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