「話がつまらない人」は説明の"型"を知らない 「ウケ狙いしているのがイタい」と思われないために

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「このままだと仕事がなくなってしまう……」。そんなことを毎日思って過ごしていました。予備校講師として駆け出しのころの話です。なぜか。私の話がつまらなかったからです。

通常、予備校講師は1年契約。人気が出なければ仕事が減らされます。最悪の場合、クビです。人気講師になるためには、生徒が面白がる話をしなければならないことはわかっていました。

私は、教育への情熱や、“化学”という教科に対する思い入れが人一倍強く、新卒で駿台予備学校という大学受験専門の予備校に就職。“説明”を本業とする講師として登壇することになったものの、それが悲劇の始まりでした。同僚の予備校講師陣は、びっくりするほど話術に長けていて、話や説明が本当にわかりやすくて面白い。そして、なぜだか、私の同期はイケメンぞろい……。

生徒から「時間を返してほしい」

情熱だけの私は、空回り。器用に「笑い」をとれる人間ではなかったのですが、がむしゃらに「笑い」や「ジョーク」をものにしようと努めたこともありました。ところが、生徒の授業アンケートでは、「つまらない」「ウケ狙いしてるのがイタ過ぎ」「もっと真面目に授業してほしい」と散々でした。「時間を返してほしい」というコメントすらありました。このままでは、職を失ってしまう……。

もう後がないと思った私は、つまらないプライドをかなぐり捨て、人気講師たちの授業を見学させてもらうことにしました。そこで2つの気づきが得られました。

1つは、笑いがなくても「面白い!」と思えるということでした。人気講師と呼ばれる人たちは、とてつもなく説明が面白いのですが、それは笑いをとったり、ウケを狙ったりというものではありませんでした。むしろ「笑い」なんて1ミリも起きない授業すらありました。

ただ、彼らの話にはいつの間にか惹きつけられてしまうのです。いわゆる「目から鱗!」「感動しました!」といった、多くの気づきを与えてくれました。授業見学をしている私は、面白い話や説明とは、聞き手をいつの間にか虜にしてしまうものだと知りました。

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