拝啓ヴィレヴァン様、"復活の秘策"を考えました 無機質な雑貨屋になってしまわないために…

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もちろん、前回書いたように、現代ではそうした「毒」を押し出すような「押し付けがましさ」自体が歓迎されない傾向にある。しかし、一方で、そうした「毒」を望む人が存在することも確かだ。

そうであるならば、ターゲティングを曖昧にさせず、そうした「毒」をどうにかして取り戻すことが、結局はヴィレヴァンが復活するために必要なのではないだろうか。「マス」は狙えないかもしれないが、ヴィレヴァンが狙うのはそこしかないのではないか。

ただし、そのような議論は、現在のヴィレヴァンにかつて置いてあった商品をただ置けばよい、といった単純なことではない。例えば、90年代鬼畜系カルチャーが生み出した諸商品は、もはや過激すぎる。少なくとも、イオン内の店舗に置くのは現実的ではないだろう。商品側も、もっと奥まった場所に置いてほしいはずだ。

つまり、そこではなんらかの戦略が必要になる。

では、どうすればヴィレヴァンは現代に即した形で「毒」を取り戻せるのだろう。

アニメイトの例に学ぶと…

ちょっとここで寄り道したいのが、同じ「サブカル」を扱う企業である「アニメイト」だ。アニメイトは1983年に開店し、現在では世界最大のアニメショップになっていった。アニメイトの現在の盛り上がりを作っている一つの要素は、2000年に開店した池袋本店だ。

池袋本店の成功が、池袋の「乙女ロード」を作ったともいわれるが、そこで行われたのは、徹底してその店に訪れた人のニーズに合致するような施策を行ったことだ。その中でストア内でのイベントなどが行われることになった。池袋本店で行われたこの施策は、その後、全国のアニメイトに広がっていく。「池袋」という特定の場所に集った人々に対して行った戦略が全国に広がっていったのだ。

アニメイト
アニメイトの様子(筆者撮影)

アニメイトの場合、誰を対象にするビジネスなのかが明確だった。これは、マーケターの西口一希が『顧客起点マーケティング』の中で述べることだが、マーケティングを行うときには、1000人のようなマスを対象にしなくとも、むしろ1人の好みを徹底的に調査し、それに合致する戦略を練った方がうまくいく場合がある。ターゲットが明確であればあるほどいいわけだ。アニメイトはその意味で、池袋という土地に根差したやり方で成功した。

ヴィレヴァン
ヴィレヴァンも、かつてはマーケティング的にもバッチリうまくいっていたはずだ(筆者撮影)
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