サブスクに関して海外に目を移すと、2010年代後半に欧米のプレミアムブランドで、ブランドごとのモデルラインアップを乗り換えられるサービスなどが一気に始まった。
これは、CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリングなどの新サービス、電動化)という次世代に向けた技術とサービスの市場導入を急ぐ各社の事業戦略の一環であった。そうした流れと並行するように、日本ではKINTOが始まったといえる。
ただし、日本でも欧米でも、サブスクを筆頭とする新車の「所有から共有」へのシフトは業界関係者の多くが当初、予想していたほどのスピード感で進んではいない印象がある。

こうした市場の流れについて、筆者はこれまで日欧米韓中、そしてインドや東南アジアの自動車メーカー関係者と意見交換してきたが、彼らの回答はかなり似ている。
「クルマを所有していたいという意識がまだまだ強い人が多い」、または「若い世代ではクルマを所有するという意識が薄れてきている」というオーソドックスな見解が少なくないのだ。
これを単純に「世代差」と捉えれば、時が進めばサブスクを利用する人が自然増になるという解釈ができるかもしれない。
「製販分離」という産業形態の是非
たしかに、そうした時代変化が起こる可能性は否定できないだろう。だが、より現実的な視点で自動車産業界を見わたすと、やはり新車の「所有から共有」が大きく進まない主な要因は「製販分離」にある。
製販分離とは、自動車メーカーは製造と卸売りを主業とし、販売と修理・点検は新車販売企業(ディーラー)が行うことを指す。
日本では、新車販売企業の中に自動車メーカーの資本が入っている場合もあるが、企業としては自動車メーカーと分離しており、商流としては概ね製販分離だと言える。
自動車メーカーのビジネスモデルは、卸売りという「新車売り切り型」なのだ。
売り切る相手は個人や法人などのユーザーではなく、新車販売企業になる。新車販売企業は、金融商品としてローンや自動車保険などを事業の柱の1つに据えている。
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