「松本ずっと嫌いだった」投稿をそう軽視できぬ訳 空気の変化はずっと、水面下で進行していた
これに対して、反対に「今になって言うな」「カリスマが弱ったときにだけバッシングするのは都合がよすぎる」といった投稿も散見される。なかには「お笑い好きでもないくせに」などと、マウントをとるケースもある。
平成テレビでは「イジる」のは珍しくなかったが…
現在、30代なかばの筆者が物心ついた頃には、すでにダウンタウンは数多くの番組を抱える「時代の寵児」だった。松本さんの『遺書』ブームと、相方である浜田雅功さんの音楽活動は、小学生になるかならないかの幼い記憶ながら残っている。おそらく「ごっつ」もリアルタイムで見ているはずだが、それほど記憶に残っていないということは、あまり好みではなかったのかもしれない。
しかしながら、「HEY!HEY!HEY!」(フジ系、1994〜2012年)は見ていたし、いまでも「水曜日のダウンタウン」(TBS系)を毎週楽しみにしている。とくに嫌悪感もなく、とはいえ神格化しているわけでもない、あくまでフラットな立場だ。
そのスタンスから、なぜ今になって「嫌いだった」との告白が相次いでいるのかを考えてみると、そこには「時代による『空気』の変化」があるように感じる。
思い起こせば、平成期のバラエティー番組は、視聴者との共犯関係を築くことで、人気を集めるものが多かった。それなりのポジションにある芸人が、後輩や女性タレントらを「イジる」構図は、「ごっつ」に限らず、十数年前まで決して珍しくなかった。むしろ、2000年代末期の「おバカタレント」ブームあたりまで、高視聴率をたたき出す、テレビ局としても魅力的なコンテンツだった。
当時を振り返って、古きよき時代と捉えるか、昔でもダメなものはダメと切り捨てるかは、人それぞれだ。また、イジりの対象になった芸能人も、活躍の幅が広がることにより「オイシイ」、いわばWin-Winの関係になっていた側面もあるだろう。
しかし、そうしたコンテンツは、現実として、次第に受け入れられなくなっていった。それとともに、「イジる系」の笑いを好まない人々によりマッチした内容へと、少しずつ変化してきていたのだ。
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