中国「5%成長達成」の裏で習近平が金融界に戒厳令 空振りの「GDPフライング発表」に映る切実

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ひな壇には習主席のほか、共産党最高指導部である常務委員会メンバーが外遊中の李首相をのぞいて全員集合した。金融のような専門性の高い分野で、これほどの動員がかかることは珍しい。

李首相がダボスで語った明るい未来と、北京で習主席が示した厳しい現状認識のコントラストは強烈だ(写真:ブルームバーグ)

その開幕式で習主席は「中国の金融には国情に適した特色があるべきで、西側の金融モデルとは根本的に異なる」「金融リスク、特にシステミック・リスクの予防と解決に努めるべきだ。金融監督には長い牙とトゲが必要だ」と演説した。尖った言葉づかいから、習主席の危機感の強さが伝わってくる。

1100兆円の隠れ債務が大問題

中国経済の矛盾は金融に集約されている。地方政府は不動産(土地使用権)の売却収入で財政をやりくりし、景気対策のためのインフラ投資の原資にもあててきた。その結果、地方政府の資金調達機関である「融資平台」の債務は増加の一途だ。

中国では地方政府の「隠れ債務」といわれるが、その規模はIMF(国際通貨基金)の推計では2022年の時点で57兆元(約1100兆円)に及ぶ。不動産の値下がりは、こうした構造を根底から揺るがすことになる。

不動産不況のもとで金融リスクが拡大しているなか、習政権は国務院(内閣)から権限を奪って共産党への一極集中体制を築き、危機管理を強化しようとしている。党側には、金融リスクの管理に当たるべき専門家への不信もあるようだ。2023年には金融当局や国有銀行幹部の汚職摘発が続いた。

2023年10月には習主席の肝いりで中央金融工作会議が開催され、「金融強国」の建設に向けて共産党の指導を強化する方針が示された。12月の中央経済工作会議を経て、1月には中国人民銀行(中央銀行)も党の方針にしたがって金融緩和とリスク削減を進めると表明している。金融分野へのグリップの強化ぶりは「戒厳令」とでも形容すべきものだ。

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