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2024年・ロシアのプーチン大統領はどこへ行く? 米欧の「ルッソフォビア」に対抗、国家改造着手

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  • 吉田 成之 新聞通信調査会理事、共同通信ロシア・東欧ファイル編集長
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バストルイキン氏は、この禁止規定を撤廃し、国家イデオロギーを復活させることを主張したのだ。この発言がプーチン氏の意向を反映したものであることは間違いないだろう。現在、クレムリン内で国家イデオロギー制定の是非や、制定の場合の内容について検討が進んでいるもようだ。

では、何が新たな国家イデオロギーとして、掲げられるのだろうか。共産党独裁の代わりに、プーチン政権が進める「独裁的権威主義政治」をさすがに国家の表看板として掲げるわけにはいかないだろう。

国家イデオロギーとしての「ルッソフォビア」

こう考えると、ルッソフォビアである西側への対抗姿勢が新たな「国家イデオロギー」として、何らかの形で盛り込まれる可能性はあると筆者はみる。

では、仮に「ロシアを敵視する西側への対抗」をうたう「国家イデオロギー」が制定されれば、何を意味するのか。

それは、「プーチン・ロシア」が「擬制の復活版ソ連」として、国際社会に登場してくることを意味する。かつての東西冷戦を想起させる対立構造をロシアが国際政治の場に持ち込んでくることになるだろう。

そういう事態になれば、ウクライナを舞台に展開されているロシアと米欧との対立関係は現在の地域的枠を超えて、いっそう広がることは必至だ。

すでに警戒すべき動きが起きている。2023年12月4日、プーチン氏がバルト3国で「ルッソフォビア的事象」が起きていると批判したのだ。

バルトでは各国政府と、旧ソ連時代から居住するロシア系住民との間でトラブルが続いている。プーチン氏は「海外に住むロシア人に対する差別には対抗措置を取る」とも言明した。

これまでプーチン氏はルッソフォビアについては、主にロシア国民向けに西側への警戒心、対抗心を煽るために使ってきたが、ここにきて外交面でも使い始めたのが不気味だ。このプーチン発言を受け、すでにNATO加盟国であるバルト諸国だけでなく、NATO全体に警戒心が広がっている。

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