ボーイング、中国向け旅客機納入を4年ぶり再開 787-9を吉祥航空に。737MAXの納期はなお未定

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ボーイングの納入凍結の主因は、2018年10月と2019年3月に相次いで起きた737MAXの墜落事故にある。前者はインドネシアのライオン航空、後者はアフリカのエチオピア航空の同型機が墜落し、合計346人の乗客乗員が死亡した。

アメリカでは737MAXの飛行禁止令が2021年11月に解除されたが、中国では1年以上も遅れた(写真はボーイングのウェブサイトより)

事故の調査結果によれば、墜落原因は2件とも操縦特性補助システム(MCAS)と呼ばれる飛行制御ソフトウェアの不具合にあった。そんななか、中国民航局は世界に先駆けて737MAXの運航停止を命令。アメリカを含む各国の航空安全当局がそれに続いた。

その後、ボーイングが改修したMCASの安全性をアメリカ連邦航空局が審査し、2021年11月に737MAXの飛行禁止令を解除。中国では飛行解禁が遅れていたが、2023年1月に国有航空大手の中国南方航空が737MAXの商用運航を静かに再開した。

737MAXは25機が未納

「これは事実上、(中国民航局の判断により)737MAXの飛行禁止令が解除されたことを意味している」。中国民航局のある関係者は、財新記者の取材に対してそうコメントした。

とはいえ、吉祥航空に今回納入されたのは787-9であり、737MAXではない。財新記者の取材によれば、ボーイングは中国の航空会社に対して合計25機の737MAXが未納となっている。

本記事は「財新」の提供記事です

同社は2023年12月22日に声明を出し、中国の顧客に対するサポートの継続とともに、(未納分の737MAXについても)時期が来たら機体を納入すると約束した。だが、737MAXの具体的な引き渡し時期のメドは明らかにしなかった。

(財新記者:鄒暁桐)
※原文の配信は2023年12月22日

財新 Biz&Tech

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