JR各社の「保守革命」、作業ロボット開発の現在地 人型ロボは実用化目前、リニア新幹線向けも

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JR西日本の展示会には人型ロボット「零式人機ver.2.0」と、同じく3社の共同開発によるシングルアームの重量物ハンドリングロボット「零二式人機ver.1.0」が出展された。零式人機ver.2.0はパワーよりも両腕を器用に動かすことを優先しているため、40kg程度の重量しか持ち上げることができないが、アームに特化した零二式人機は150kgの重量物を持ち上げることができる。

高所における重量物の作業はクレーンなどで吊り上げて複数人で支えながら取り付け作業を行っている。零二式人機が実用化されれば零二式人機が重量物を支え、取り付け作業を人が行うといった役割分担となる。その先には高所作業を零式人機と零二式人機だけで行うといった可能性もある。

JR西日本 長谷川一明社長 人機一体ロボット
零二式人機の操縦席に座るJR西日本の長谷川一明社長(写真:JR西日本)

鉄道以外の分野向けも開発

国際ロボット展には人機一体が零式人機と零二式人機以外にも開発中のロボットも出展した。

人機一体のロボット
川崎重工の二足歩行ロボット「カレイド」をベースに人機一体が全身遠隔操作システムの開発を進める(記者撮影)

鉄道以外の分野での開発も進んでおり、たとえば、竹中土木、東北電力ネットワークと共同で開発中の「人機GSP」は土木分野や電力分野で使用を想定している。

橋梁の下部に高重量物を取り付ける場合、クレーンでは取り付け位置まで吊り上げることができないため、デッキリフトで一定の高さまで上げた後、人が高重量物と橋梁下の位置を調整して取り付けている。人機GSPはデッキリフトに搭載し、人に代わって微細な調整を行い、作業効率を向上させる。また、墜落や感電の危険を伴う柱上の配電線や変圧器などの工事での活用も期待される。

また、川崎重工業のヒューマノイドロボット「カレイド」をベースに、人機一体の力制御技術を融合した二足歩行ロボットの全身遠隔操作システムの開発も進めている。金岡社長は「鉄道用途はもちろん、有害物質が懸念される危険な環境など人が行うことが危険な場所での作業を想定している」と話す。

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