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日本企業が抜け出せなくなった貧乏"症"の正体 いつのまにか儲からない事業が氾濫している訳

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  • 岸本 義之 武庫川女子大学経営学部 教授
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また、ポーターの「5つの力」の理論によると、業界内の競合、新規参入の脅威、代替の脅威、売り手の交渉力、買い手の交渉力が弱いところにポジショニングをとることで、企業は利益を得ることができるのであるが、日本企業は、それらの5つの力が強いところに陣取って、「歯を食いしばる」ことを美徳としてしまっている。

特に多くの消費財メーカーは「買い手の交渉力」の強い量販店に販路を依存してしまっていて、メーカー同士(および小売のプライベートブランドと)の過当な価格競争にどっぷりとつかってしまっている。

そうした危機的な状況から脱出するというのが、本来の経営戦略のはずなのであるが、多くのメーカーは高度成長期以来のビジネスモデルの成功体験を踏襲することしかしてこなかった。製造に弱みを抱える欧米メーカーを撃破するところまではよかったのだが、製造に強みを持つ韓国や台湾、中国のメーカーに同じ戦いを挑まれ、完全に勝ち目がなくなっている。

にもかかわらず、「ものづくり」なる、過去の成功体験を過剰に美化した言葉に逃げ込み、アジア企業との価格競争にも「歯を食いしばる」ことで耐えようとしている。

儲からない事業から抜け出せない

さらに悪いことに、日本企業の多くは「儲けは二の次」で、既存社員の雇用維持のほうを優先しようとする。いわゆる終身雇用(高齢化している現代では、もはや終身ではないのだが)の建前を維持するために、儲からない事業でも継続することになる。

儲からない事業の多くは創業時からの事業であることも多く、そこから撤退する判断を行おうとする経営者が現れない。こうやって「貧乏症」(儲からない体質が慢性化した病気)に陥ってしまうのである。

若い世代の起業家たちは、社会課題をビジネスチャンスにするというところまでは理解できているはずだが、儲かるビジネスモデルのお手本が日本国内にあまりないので、同じ失敗に陥ってしまう危険性がある。

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