スタバで「フラペチーノ」飲む人が知らない"真実" コーヒーじゃない「看板商品」を持つ凄さとは?

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4 ✎ 最新
拡大
縮小

考えてみてほしい。ほかのカフェチェーンでこのように特別なイメージを見いだせる店があるだろうか。そもそもチェーンストアは、「そこだから行く」店ではなく、「そこでいいから行く」店だろう。わざわざチェーンストアに好んで行く人はあまりいない。カフェチェーンだって同じである。街にたまたまあって、たまたま時間を潰したいから、なんとなく入るのである。

でも、

「スタバに行きたい」

という言葉を、人は変だと思わない。スタバには、そう思わせるだけの「特別感」があるからだ。

筆者はチェーンストア研究家としてこれまでいくつかの書籍を出版し、チェーンストアについて消費者の視点から考えてきた。その知見からみても、スタバがこのような「特別感」を持っているのは非常に稀有なことだと思う。

本連載で私が向き合いたいのは、この「特別感」である。

スタバが抱える「矛盾」とは?

ここで私は指摘したい。スタバの「特別感」とはそこに存在する「矛盾」にあるのだ、と。スタバは「矛盾」した存在で、それこそが、その不思議なカフェを考えるヒントになる。これを明らかにするために、少しだけ脱線した話をしたい。

かつて、「木更津キャッツアイ」というドラマがあった。この作品は2002年に放送された宮藤官九郎のテレビドラマで、題名のとおり、千葉県木更津を舞台にした青春群像劇だ。この中のセリフがとても興味深い。ヒロイン的存在である酒井若菜演じるモー子は、神社でこうお祈りする。

「木更津にスタバができますように!」

このセリフは、スタバが持つイメージが詰まっている。それをはっきりさせるためには、例えば、このセリフをこう変えてみるとわかりやすい。

「木更津に吉野家ができますように!」

たぶん、こう願う人はいないと思う。やはり、このセリフはスタバでなければならない。

次ページ全国「どこにでもある」スタバの「そこにしかない」特別感
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT