令和のリクルート事件、特捜が悪質性を本気捜査 当時立件できなかった政治家に迫れるのか

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筆者は裏金疑惑が明らかになった初期段階から、1988年6月に発覚した「リクルート事件」との類似性を指摘してきた。リクルート創業者の江副浩正元会長は、当時の中曽根康弘首相が推進した国鉄と電電公社の民営化に伴う民活路線を“虚業から実業”に転じるチャンスと捉えた。

そして同氏は政・官・財界の要路工作として、1984年12月から3回に分けて第三者割当を通じてリクルートコスモス未公開株1631万株をバラ撒いた。未公開株譲渡先の相談を受けたのが牛尾治朗元経済同友会代表幹事と言われた。

捜査を担当した吉永祐介東京地検検事正・松田昇特捜部長・宗像紀夫主任検事の指揮ラインは、その手口が極めて悪質だとして①労働省ルート、②文部省ルート、④NTTルート、④政界ルートの4班体制で強制捜査に着手した。株譲渡=金銭贈与と見なされるのだ。

リクルート事件で解明されなかった疑惑

未公開株を譲渡された政治家13人のうち逮捕・起訴されて有罪となったのは藤波孝生前官房長官(衆院当選8回・当時)と池田克也衆院議員(公明党)の2人だけだった。

リクルート事件取材で想起することがある。当時、旧大蔵省OBの伊吹文明衆院議員(2回)がなぜ3万株も譲渡されたのかと不思議に思った。蔵相辞任を余儀なくされた宮澤喜一元首相(8回)が1万株なのに、と。

やはり文部省ルートの森喜朗元文相(7回)も3万株である。今ではその理由がわかる。伊吹氏は大蔵省時代に主計局主計主査(文部省係)だった。江副氏の譲渡リストに載るニーズがあったのだ。

今回の還流疑惑に戻る。二階派も強制捜査の対象となり、巷で同氏の名前が取り沙汰されている。そして森氏も事情聴取されるとの見方もある。パー券収入の裏金疑惑が「令和のリクルート事件」と言われる所以だ。

来年1月20日頃の第213回通常国会召集前に捜査のヤマ場を迎える。

歳川 隆雄 『インサイドライン』編集長

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1947年生まれ。週刊誌記者を経て1981年からフリージャーナリストに。現在は国際政治経済情報誌『インサイドライン』の編集長。
 

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