高いDOEにつながる理由
トップになったのは2021年に上場したアルマード。
卵殻膜成分を配合した化粧品、健康食品を製造販売しており、前2023年3月期実績を基に算出したDOEは26.7%だった。前期を含む過去3期平均のDOEは20.8%で、株主還元の水準を着実に引き上げている。
今期は直販ECの新規顧客獲得で苦戦しているが、定期購入顧客が増加。広告費のコントロールも利かせて増収増益の見通しだ。年間配当予想は前期と同様の65円で、予想1株利益に対する配当性向は96%と、今期利益をほぼすべて株主に還元することになる。
2023年12月26日まで30万株(発行済み株式の3.1%)、3億円を上限に自己株買いも進めており、総じて株主還元に力を入れていることが高DOEにつながっているようだ。
事業成長で配当原資を積み上げ株主還元
2位にはアパレルのネット通販サイト「ZOZOTOWN」を運営するZOZOがランクイン。前期のDOEは25.5%で過去3期平均は26.6%と、安定して20%台半ば以上の高水準を維持している。
2021年3月期から純利益は過去最高を更新中。今期もヤフーショッピング経由の販売が好調に推移しているほか、広告事業も拡大しており、連続最高益を見込む。
2023年10月末には東京証券取引所の要請である「資本コストや株価を意識した経営の実現」に向けた対応策として、配当性向の目安を従来の5割から7割に引き上げるのと同時に、2024年3月1日まで500万株、100億円を上限にした自己株取得を発表した。事業の成長によって配当原資を積み上げ、株主還元へとつなげる好循環を実現していることが見て取れる。
今期の年間配当は98円と前期の65円から大幅増配の見通しで、配当性向は69%と高水準だ。
3位にはベネフィット・ワンが前期DOE23.0%でランクインした。過去3期平均DOEも23.3%と同水準で高い。
同社はパソナグループ傘下で、企業や官公庁の福利厚生・健康診断の運営代行を手がける。コロナワクチン接種支援の特需が一巡し、今期は営業減益を見込んではいるが、企業の間で福利厚生の強化ニーズや健康経営志向が強まっており、主力事業に対する需要は旺盛だ。今期は減益でも年間配当は36円で据え置く見通しで、配当性向は86%に達する。
4位に入ったのは人材紹介中堅のJAC Recruitmentで、前期DOEは20.7%だった。決算説明資料では配当政策について「経営の重要課題としてとらえ、投資・還元のバランスを適宜判断」と抽象的な記述にとどまるが、過去3年平均のDOEが21.9%と、安定して高水準の株主還元を続けている。今期の年間配当は90円で、前期の80円から増配の見込みで、配当性向は63%だ。
ランキングに入らなかった企業についても、『会社四季報』新春号の各企業のページには、前期実績のDOEと前期を含む過去3期平均のDOEを掲載している。DOEが同業他社の中で比較的高い企業や、徐々に向上させている企業を探すのに役立ててほしい。
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