開業後どうなった?2023年誕生「新路線」の通信簿 宇都宮ライトレールや七隈線は予想以上の好調

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新横浜駅を経由することから、東海道新幹線へのアクセス路線としても注目される同線。JR東海も新横浜駅6時03分発の臨時「のぞみ」を新設し、東京駅や品川駅の始発列車よりも大阪方面へ早く着けることをPRしている。

では、開業後の利用実態はどうか。相鉄ホールディングスの2023年度第2四半期決算発表時の資料によると、相鉄新横浜線の輸送人員は2023年度上期の計画が1日当たり約8万4000人だったのに対し、実績は約7.9万人と計画値を下回る結果となった。東急新横浜線の輸送人員は第2四半期までの実績が約1340万人で、こちらも計画を約3割下回っている。

相鉄にとっては2019年11月開業の「相鉄・JR直通線」に次ぐ2つ目の都心直通ルート、東急にとっては東海道新幹線と接続する新横浜へのアクセス路線として期待を集めて開業した相鉄・東急新横浜線。定期外客の利用は堅調というが、定期客の利用が定着するまでにはまだ時間がかかりそうだ。

相鉄・東急新横浜駅
新横浜駅のホームに並んだ都営地下鉄三田線(左)と相鉄の電車=2023年3月28日(記者撮影)

大混雑の七隈線、予測上回る宇都宮LRT

一方、好調なのが3月27日に天神南―博多間約2kmが延伸開業した福岡市地下鉄七隈線だ。同線は2005年2月に福岡市西南部の橋本と天神南を結ぶ約12kmが開業。東京の都営地下鉄大江戸線や大阪メトロ長堀鶴見緑地線などと同じ、リニアモーター駆動によってレールの上を車輪で走る「鉄輪式リニアモーター」の地下鉄で、JR在来線などの一般的な車両と比べてやや小ぶりな電車が4両編成で走る。

地下鉄七隈線の開業初日
福岡市地下鉄七隈線・天神南―博多間開業1番列車の出発式=2023年3月27日(記者撮影)

同線は開業以来、輸送人員が予想を大きく下回る状態が続いていた。当初の1日平均乗車人員の目標値は11万人だったが、2005年4月の1日平均乗車人員は約4万6000人と4割程度で、その後も低迷。天神南駅が繁華街である天神地区の中心から外れており、福岡市地下鉄空港線や西日本鉄道(西鉄)天神大牟田線の駅とも離れていることなどが要因だったとみられる。

七隈線の橋本駅
七隈線の終点、橋本駅には延伸開業で博多まで28分に短縮されることをPRするステッカーが=2023年3月26日(記者撮影)

だが、博多駅への直結で利用者数は急増。3月に1日当たり約7万5000人だった輸送人員は、延伸開業後の4月には約12万人と一気に1.6倍に。混雑の緩和が課題として急浮上し、8月にはダイヤ改正を実施してラッシュ時の列車を増便するまでになった。約2kmの延伸が大変貌をもたらした。

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