2024年1月開始「新NISA」で日本株の需給に変化か 投資信託のフローが示す個人大転換の可能性

拡大
縮小

 SMBC日興証券の安田光チーフ株式ストラテジストは「昨今の米国株ブーム、円安の影響、歴然としたパフォーマンス格差が保有状況に表れている」と指摘した。

ただし、為替については利上げの打ち止め感が出ている欧米に対し、日本銀行はマイナス金利解除の可能性を探っており、国内外金利差の縮小で来年は円高方向に振れるとの予測も出て、外国株よりも日本株が選好される可能性がある。デフレ脱却や東京証券取引所が上場企業に対し求める資本効率改善への期待感も続きそうだ。

日本株市場に買い需要

SMBC日興証では新型NISA経由の投資が政府目標に沿った形で増えた場合、現在の同証NISA顧客の保有状況に基づき国内株33%、株式投信9%で試算すると、日本株市場に年間2兆円の買い需要が発生するとみている。

日本株の新NISA効果、年間2兆円の資金流入の公算:SMBC日興

個人は近年、日本株市場の売り越し主体となるケースが多かった。また、自社株買いなどを行う事業法人を除けば、国内には安定した買い手となる投資部門が存在せず、おおむね外国人の売買動向に左右され続けてきた経緯がある。

個人の投資資金規模は外国人に比べ圧倒的に小さいが、三菱UFJ信託銀行の芳賀沼千里チーフストラテジストはこれまでコンスタントな売り手だった個人の姿勢に変化が見られた場合、その影響は大きいと話す。

芳賀沼氏は「今後個人は資産形成の重要性やインフレの可能性を認識し、金融資産を日本株に振り向ける可能性が高い」と予想。これまでも株価の調整局面で買い越す傾向は見られたが、個人の存在が今後大きくなれば、「日本株は世界的な株価調整局面でも相対的に下落率が小さくなるだろう」とみている。

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著者:佐野日出之

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