新幹線と在来線特急「自由席・指定席」めぐる歴史 年末年始「のぞみ」全席指定化は必然だった?
調査したのは1964~2023年までの1月号の時刻表と、2023年12月号。データは著者が手作業でチェックしたものなので「ここが間違っている!」とめくじらを立てず、軽い気持ちで読んでいただけるとありがたい。
東海道新幹線が開業する前の1964年1月号の特急の編成表には「指定席」、「自由席」の記述がなかった。記されているのは「1」、「2」の数字だけ。「1」は1等車で現在のグリーン車に当たる車両、「2」は2等車で現在の普通車だ。時刻表の表紙をめくると最初のほうに時刻表に使われている記号を説明するページがある。そこには「全席指定」というマークがあり、次のような説明が書かれていた。
つまり、すべての特急が全席指定なのだ。
新幹線や特急の指定席のチケットを見ると「特急券」、自由席のチケットを見ると「自由席特急券」と記されている。普通に考えたら指定席の特急券には「指定席特急券」としたほうがわかりやすい。また、自由席よりも指定席のほうが料金は高く、指定にする分だけ料金を高くしたと考えれば自由席は「特急券」、指定席は「特急券・指定席券」としてもいい。「特急券」、「自由席特急券」というルールとなっているのは「特急」イコール「全席指定」という考え方がベースとなっているからだろう。
初めて自由席が設定されたのは新幹線「こだま」
1964年10月に東海道新幹線(東京―新大阪間)が開業。開業後初となる年末年始の時刻が掲載されている1965年1月号の編成表を見ると、新幹線も在来線の特急も全席指定席となっていた。が、東海道新幹線のページの欄外を見ると、こんな注意書きが。
新幹線、特急に初めて自由席が設定されたのは、新幹線「こだま」だったのだ。
おそらく、年末年始で混雑することから、より多くの人を運ぶために自由席としたのだろう。2023年の年末年始、混雑を理由に「のぞみ」の自由席を廃止する東海道新幹線で、1964年の年末年始、混雑を理由に全席指定の「こだま」に自由席を作ったというのは興味深い。
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