中国ルーツの「SHEIN」、米上場に向けて課題山積 投資家や当局から理解を得る取り組みが必要

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トンプソン・コバーンで企業・証券実務グループ共同会長を務めるデービッド・カウフマン氏は「IPOで最も難しい点の一つがディスクロージャー(情報開示)とパブリシティーだ」とブルームバーグに指摘。「強制労働に関与していないとの説明や綿花の調達先、そして行動規範や検査プログラムなど全てがどう変化しているかについて、恐らく大がかりなロビー活動が行われるだろう」と述べた。

中国当局も注視

中国当局が国外上場に対する徹底した取り締まりを行い、推定1兆ドルの時価総額が吹き飛んで以来、米国で中国企業のIPOはほとんど行われていない。シーインのルーツは中国だが、米IPOに向けた長期キャンペーンの背景にあるのが、同社の地位をグローバル企業として確立させたいという願いだ。

シーインは22年、本社をシンガポールに移転。昨年は製造拠点の分散を図ろうと、中国以外での製造施設拡張にも着手。米国とカナダ、欧州に配送センターを開設し、これら地域での配送時間の短縮を目指している。

中国当局が今後、シーインの米上場計画を検証し、承認を求める決定を下す可能性もある。中国証券監督管理委員会(証監会)は中国企業に対し海外での株式発行に登録を義務付けており、国家安全保障やその他の懸念事項を審査する。そうなれば、IPOプロセスが遅れる恐れもある。

ここ数年、中国企業の米上場はほんの数例しか認められておらず、その規模も小さい。ヘサイ・グループが今年2月にナスダックで1億9200万ドル規模のIPOを実施したが、これがここ2年で中国企業が米国で行った最大の米IPOだ。

カウフマン氏は、中国企業による米上場の「輝かしい時代が戻るわけではない。シーインはユニコーンであり、ユニークな例だ」と話した。

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原題:Shein’s IPO Plan to Fuel Scrutiny Over Cotton, China Roots (1)(抜粋)

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著者:Amy Or、Olivia Rockeman

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