中国が目指すメタノール船舶燃料の「供給ハブ」 上海港の運営会社が国際海運大手3社と提携

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この覚書に基づき、上港集団はCMA CGMおよびコスコグループの船隊向けに、中国の主要港でグリーンメタノールの調達、販売、(船舶への)補給などのサービスを提供する計画だ。

それだけではない。海運業界の内情に詳しい人物によれば、上港集団はデンマーク海運大手のA.P. モラー・マースクとも、2023年3月にメタノール船舶燃料に関する戦略提携の覚書を取り交わしたという。

グリーンメタノールは次世代の船舶燃料の本命とされている。写真はコスコグループが建造中の大型コンテナ船の完成予想図(同社ウェブサイトより)

A.P. モラー・マースク、CMA CGMグループ、コスコグループはいずれも国際コンテナ輸送の世界的大手であり、メタノールを燃料に使う大型コンテナ船を多数建造中だ。上港集団は3社との提携をテコに、上海港をアジア地域におけるメタノール燃料の供給ハブに発展させようと目論んでいる。

シンガポールの地位を奪えるか

従来型の船舶燃料に関しては、シンガポールがアジア地域の供給ハブの役割を担っている。シンガポール海事港湾庁のデータによれば、シンガポールの2022年の船舶燃料供給量は4788万トンだった。一方、中国の商品情報サイト、金連創のデータによれば、同年の中国の保税船舶燃料供給量は約2187万トンと、シンガポールの半分未満にとどまる。

本記事は「財新」の提供記事です

中国は海運大国であると同時に(風力発電や太陽光発電などの)再生可能エネルギー大国でもあり、グリーンメタノールの生産や供給に有利な条件がそろっている。

船舶燃料の(重油から)メタノールへの転換という潮流を利用して、国際海運業界におけるクリーンエネルギー供給の中心地となることができるか、今後の展開が注目される。

(財新記者:李蓉茜)
※原文の配信は11月14日

財新編集部

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Caixin

2009年設立の財新は中国の経済メディアとして週刊誌やオンライン媒体を展開している。“独立、客観、公正”という原則を掲げた調査報道を行い、報道統制が厳しい中国で、世界を震撼させるスクープを連発。データ景気指数などの情報サービスも手がける。2019年末に東洋経済新報社と提携した。(新型肺炎 中国現地リポート「疫病都市」はこちらで読めます

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