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農業の「脱・技能実習生」はどこまで進んだか 特定技能の労働者のほうが時給は1~3割高い

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コロナ禍の混乱をばねに、新たな労働力確保の取り組みが進む。

キャベツ畑で働く外国人労働者
群馬県嬬恋村に広がるキャベツ畑。外国人が多く働く(写真:嬬恋キャベツ振興事業協同組合)

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すべての産業分野で人手不足が深刻化している。その数は政府推計で34万人。どう補うのか。
『週刊東洋経済』12月2日号の第1特集は「外国人材が来ない!」。経済大国日本には発展途上国の若い労働者がいくらでもやってくる――そんな時代は終わりつつある。
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「ウチはもう『技能実習生』は入れないで、『特定技能』で現場の働き手を確保することに決めた」。日本一のキャベツ産地である群馬県嬬恋(つまごい)村で、外国人労働者を受け入れる特定監理団体「嬬恋キャベツ振興事業協同組合」の橋詰元良事務局長は話す。

少子高齢化が進む嬬恋村では、農業での労働者不足が深刻化している。そこで、建前としては日本で技能を学ぶ研修のため来日した実習生を村内のキャベツ農家が受け入れ、農作業を担っていた。農家1軒当たり1〜3人の受け入れが一般的で、仲介役は協同組合やJAグループが担っていた。

特定技能へのシフトが進む

協同組合はコロナ前に約60人の実習生を受け入れてきたが、今年はゼロ。その代わり、今年の約100人の外国人労働者のうち、ほとんどが特定技能になった。来年以降も実習生の受け入れ予定はないという。

村内ではJAグループなどの仲介で実習生を受け入れている農家もまだ多いようだ。だが村全体では特定技能へのシフトが進んでいる。

特定技能は2019年4月から始まった制度で、一定の専門性を持った人材を労働者として迎え入れる。実習生と違い、就労分野に関する技能と日本語の試験があるため一定の職業能力が期待できる。

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