日本銀行が「リスク資産」の購入から静かに撤退 中央銀行として異例の金融政策から正常化の兆し

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日銀で金融市場局長を務めた山岡浩巳フューチャー取締役は、日銀によるETFとJ-REITの購入は「売らないとエグジットできない一方で、売ると市場を壊してしまう」と問題点を指摘する。買い入れの縮小については「日銀が買わないという状況に市場を慣れさせるということだろう」との見方を示す。

白川方明元総裁が10年に導入した「包括的な金融緩和政策」の一環として始まったETFとJ-REITの購入は、黒田東彦前総裁による異次元緩和の下で増額が繰り返された。現在の買い入れ方針は、ETFが年間約12兆円、J-REITは約1800億円をそれぞれ上限に「必要に応じて買い入れを行う」としているが、実績は上限に遠く及ばない。

SMBC日興証券シニアアナリストの鳥井裕史氏は「買わないことは自然だ。もう日銀が買うことに対して期待を持たれている状況ではない」と指摘。「不動産価格自体も非常に高い状況が続いているので、わざわざ買って価格を押し上げる政策の必要性自体が今はないと思っている」と語った。

YCCの柔軟化措置を相次いで決定

4月の植田和男総裁の就任以降、日銀は7月と10月にイールドカーブコントロール(YCC、長短金利操作)の柔軟化措置を相次いで決定し、市場では政策正常化に向けた動きとの見方が多い。9月の金融政策決定会合の「主な意見」によると、ある委員が出口に言及した上で「イールドカーブコントロールのみならず、国債以外の資産買い入れの要否についても検討すべきである」と述べている。

日銀が保有するETFの時価は3月末時点で53.2兆円に達し、J-REITも7350億円に上る。白川元総裁が「臨時・異例の措置」として導入したリスク資産の買い入れは結局、13年間も続いている。インフレ対応が植田日銀の優先課題になる中で、「ETFとJ-REITの売却は市場に大きな衝撃を与える。植田総裁の任期中でも売却によるエグジットは難しい」と山岡氏はみている。

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著者:伊藤純夫、藤岡徹

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