砂漠を試乗の場所に選んだのは、全輪駆動システム「quattro:クワトロ」がBEVでも有効なコンセプトだと証明したかったからだろう。
イメージ的にも、アウディはクワトロと砂漠を結びつけるのが好きなようで、2005年に登場した「Q7」の国際試乗会もドバイの砂漠だった。
それはさておき、e-tronは、便利さ(それとあえての違和感)を含めて、新時代の乗り物としてのBEVのありかたを提示してくれて、印象深いモデルだった。
冒頭で「BEVはつらいよ」としたのは、実はいい意味でのこと。
今回、マイナーチェンジを受けて車名も変わったQ8 e-tronに乗ってみて、初期モデルで感じた硬い足まわりや、加速性能とハンドリングのミスマッチといった違和感が払拭されていたことを確認したからだ。
BEVがかぎりなくICE(エンジン車)的に洗練されていくトレンドに合わせて、つねに改良を施していくアウディのエンジニアの努力に感心するとともに、「大変だったろうなぁ」と感じ入ってしまった。
「つらかったんじゃないか」と勝手に私が思ったのは、アウディジャパンが「大幅にアップデート」という言葉で表したとおりの改良が、並大抵のことでなかっただろうと思ったからだ。
デザインはエンブレムも新たに
Q8 e-tronには2種類のボディタイプがあり、1つはそのまま「Q8 e-tron」というSUV、もう1つはアウディお得意のクーペライクなボディを持つ「Q8 Sportback (スポーツバック)e-tron」。
ちなみに、Q8のネーミングになる前のオリジナルのe-tronにおいては、スポーツバックの設定は2020年だった。
先に触れた2つのパワートレインは、50が両ボディに、55はスポーツバックのみに組み合わされる。共通するのは、外観の一部変更だ。
特に目立つのは、「シングルフレームグリル」というアウディ車のアイコン的グリルを継続採用しつつ、ブラックのマスクで囲んだ新しい意匠。
アウディの「4リングス」というエンブレムも、立体的なデザインから2次元的表現に改められた。Bピラーの外側には、モデル名が入る。
内装で目新しいのは、シート地。ペットボトル由来のリサイクル原料を使用する「ダイナミカ」なる素材を使う。
最近ではペットボトル由来の素材が増えているので体験済みの方もいるだろうが、アウディの素材も、滑りにくいうえに手触りがなかなかよく、好印象だ。
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