欧州中央銀行に対して強まる「利下げ」の観測 市場の注意は景気減速よりも金利低下の可能性

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欧州中央銀行(ECB)が来年に金利を大幅に引き下げるとの観測が強まっている。景気減速への対応を迫られるとトレーダーはみている。

スワップ市場は初めて、来年の利下げ幅を1ポイントと織り込んだ。2カ月前に想定されていたのは、0.75ポイントの利下げだった。

英国の10月小売売上高が予想外に減少し、米国のデータはインフレが減速しつつあることを示している。原油が弱気相場に陥ったことも、世界経済がリセッション(景気後退)に近づいているとの懸念を再燃させた。短期金融市場は米国の金利についても来年の1ポイント利下げを織り込んでいる。

ただ、市場の注意が向かっているのは今のところ景気減速より、金利低下の可能性の方だ。債券相場は今週上昇し、ドイツの10年債利回りは20ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)近く低下して約2.52%となった。

当局者は金融緩和を考え始めるのは時期尚早だと繰り返しており、長期にわたって金利を高水準に維持する意向だ。しかし、相次いだ大幅な利上げが経済に打撃を与え始めている証拠が積み重なるにつれ、市場は納得しにくくなっている。

ECB政策委メンバーのビルロワドガロー・フランス銀行総裁は17日の講演で、ECBが10月に利上げを停止する決定を下したことは、インフレ鈍化によって十分に正当化されると述べた。ECBが昨年引き締めを開始した後、物価上昇ペースが大幅に低下し、基調インフレの指標は明らかに今年春にピークを過ぎたとも指摘した。

  • ECBの利上げ停止、インフレ鈍化が正当化-仏中銀総裁

原題:Traders Raise Bets on ECB Cuts to 100 Basis Points Next Year (1)、Traders Add to ECB Rate Bets, Fully Price 100bps of Cuts in 2024(抜粋)

 

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著者:James Hirai

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