サ活ブームで大人気「今どきオシャレ銭湯」の実態 「経営難の銭湯」をリニューアルした夫婦の戦略

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ドミトリータイプの宿泊施設(8800円〜)(筆者撮影)

2つの銭湯を成功させた新保夫妻は、さらに墨田区の「さくら湯」と新宿区の「金沢浴場」の2つの銭湯の事業を継承。現在、展開の方法を検討しているところだという。

「私が銭湯をやる上での3大原則が『清潔・快適・適温』です。そして、銭湯でリラックスした豊かな時間を過ごしてもらい、『明日また頑張ろう』という気持ちになってもらいたい。そんな銭湯をこれからも経営していきたいです」(朋子さん)

増える銭湯のリノベーション

なお、黄金湯のような銭湯のリノベーション事例は近年増えており、銭湯ファンの増加に寄与しているようだ。

一方で、昔ながらの銭湯もまだまだ多い。新保さんによると、不動産を所有しているかどうか、薪かガスかなどによっても大きく異なるものの、一般的に銭湯の損益分岐点は1日の集客が130人程度と言われているそうだ。利用客の平均が100人ちょっとという2012年時点の状況が続いていれば、多くが損をしながら営業していることになる。さらに燃料費の高騰なども追い打ちをかけている。

新保朋子さん。2012年に夫の卓也さんと銭湯を引き継いだときは、銭湯事業にはまったくの素人だったとのこと。新たな時代の銭湯の姿を模索しながら、2つの銭湯を成功させてきた(筆者撮影)

なお、銭湯の利用料はその上限が各都道府県によって決められている。東京都は2023年7月より、大人の料金が従来から20円値上がりし、520円となった。気軽に利用するための情報としては、地域や銭湯ごとにお得な回数券などを設けているところもある。例えば東京都公衆浴場業生活衛生同業組合では10枚4700円の共通入浴券を発行しており、都内の銭湯ならどこでも、少し安く利用することができる。

今回紹介したようなおしゃれな銭湯でなくても、昔ながらの銭湯も昭和の雰囲気が味わえたり、それぞれの銭湯の個性が感じられて十分に魅力的だと個人的には感じている。また広々とした浴槽に浸かることでリラックス効果が得られる。

見知らぬ人同士が素裸で同じ空間を共有しながら、なおかつリラックスできるという、不思議な状況を可能とする「銭湯」。日本の貴重な文化を引き継いでいくための、新保夫妻のような新しい試みをおおいに応援したいと感じた。

圓岡 志麻 フリーライター

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まるおか しま / Shima Maruoka

1996年東京都立大学人文学部史学科を卒業。トラック・物流業界誌出版社での記者5年を経てフリーに。得意分野は健康・美容、人物、企業取材など。最近では食関連の仕事が増える一方、世の多くの女性と共通の課題に立ち向かっては挫折する日々。contact:linkedin Shima Maruoka

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