小室直樹は20世紀から届けられた最終兵器だ 「日本人のための経済原論」復刊に寄せて

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(撮影:今井康一)
小室直樹ほど「知の巨人」の名にふさわしい学者はいないだろう。博覧強記にして、稀代の社会科学者・小室直樹の経済学の代表作『小室直樹の資本主義原論』、『日本人のための経済原論』が合本として復刻した。720ページの大著『小室直樹 日本人のための経済原論』がそれである。同書に寄せられた「ハゲタカ」シリーズの作家・真山仁氏の前書きを掲載する。

ハゲタカシリーズの推薦文から始まった

「前期的資本の国・日本が一人前になるために、真に貴重な作品である」

2007年、ハゲタカシリーズの第2作『バイアウト』(現在は『ハゲタカⅡ』に改題)刊行に際して、小室直樹氏からいただいた「推薦」の言葉だ。

稀代の社会科学者・小室直樹の経済論2冊を合本して復刻。基本的な経済学の考え方から、日本の経済、社会の問題点までをわかりやすく解説した小室経済学の集大成にして決定版。博覧強記の720ページが一気に読める!!『小室直樹 日本人のための経済原論』(東洋経済新報社)画像をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

それまで小室氏とは、一面識もなかった。私は経済の門外漢で、氏の著作も拝読していなかった。にもかかわらず、このぶしつけな依頼に、小室氏はふたつ返事で「ぜひ、推薦しよう!」とおっしゃってくださったと、当時の編集担当者から聞いた。

感激した私は、「直接お会いしてお礼を申し上げたい!」と訴えた。だが、当時小室氏はご体調が優れず「そこまでには及ばない。これからも頑張ってほしい」とお会いできなかった。この絶好の機会を逃したきり、私は生前の小室氏にごあいさつできなかった。

そんな後悔を抱えたまま月日は流れ、思いがけないことに、東洋経済新報社から本書の推薦文執筆のご依頼をいただいた。当初は「私は、小室氏の門下生でも経済学に詳しいわけでもないので」と固辞しようと思った。

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